ニッケイ新聞 2013年9月13日
2011年のPnad(全国家庭調査)とSebrae(中小企業支援サービス機関)の調査集計によれば、年間の平均収益360万レ以下の小・零細企業(以下企業)のうち、経営者が黒人あるいは褐色(パルド)=以下両人種あわせて「黒人」=である企業の割合が、10年間で43%から49%にまで増えた。ブラジルでは両人種の割合が全体の51%で、それに匹敵する数字となっている。
国内で小・零細企業を経営する人は1100万人おり、2001年と比較してその数は28・56%増えている。黒人が経営する企業の平均月間収益は1039レと10年で70%増えたが、白人経営企業のそれは2019レで、約半分にとどまっている。
「社会の不平等は少なくなってきているけど、それでも違いはまだまだ大きい」と語るのは、Sebraeのルイス・バレット会長だ。「課題は、収入の不平等さを減らすこと」と強調する。
事業を立ち上げる理由も、白人と黒人では異なるようだ。白人においてはチャンスがあるからと考える人が多い一方、黒人の間では「必要に迫られて」という人が多いという。
「(黒人の)事業主の大半は、他に選択肢がない、労働市場から除外されているという理由で起業する」。FGV(ジェトゥリオ・ヴァルガス財団)のレイナルド・ブガレリ氏はそう説明する。同じような傾向は、(労働手帳にも記入される)正式雇用の場でも見られるという。
2010年の国内6都市圏のデータによれば、経済活動を行う市民の平均月収は白人で1910レ、黒人で1043レと白人が83%多い。
学歴の差に関してはここ10年で大きな進歩はみられず、2011年も黒人事業主の平均就学年数は白人事業主より2・3年少なかった。それでも、2・8年の差があった2001年より改善したが、「黒人が労働市場から除外されている原因は学歴よりも、差別の方が大きい」と指摘する声もある。
公社従業員と民間企業の従業員の人種の内訳を比較すると、筆記式の採用試験を受けて採用される公務員や公社従業員は、民間企業に比べて黒人の割合が多い。民間企業の場合、黒人は面接で落とされてしまうことが少なくないという。
経営学と物流で二つの学士を取得した黒人のファビアーノ・モレイラさん(38)は企業に勤めていたが、昨年、独立して事業を立ち上げることに決めた。
「難しい問題。企業は会社全体のイメージにつながるのを避けるために黒人に管理職を任せたがらない」と苦々しく振り返るモレイラさんは、モトボーイ(バイク便配達人)から始まり、今では物流会社経営で月に40万レの収入をたたき出している。(9日付フォーリャ紙より)