ニッケイ新聞 2013年9月13日
個人資産が3千万ドルを超えるスーパー・リッチな人の数が10日に発表され、全世界の億万長者は19万9千人余りで新記録となったのに、ブラジルの億万長者は2012年より13%減ったという。
UBS銀行と調査専門のWealth—X社の発表によると、億万長者の増加は米国とヨーロッパの景気が回復してきた事を追い風としたもの。昨年比6・3%増の19万9235人が持つ資産の総額は27兆7千億ドルに達しており、欧米諸国の億万長者は1年間で1万人以上増えている。
これに対し、ブラジルの億万長者は、4640人から4015人にと昨年比13%減。ラテン・アメリカ全体の億万長者の数は、ブラジルに引っ張られて昨年比4・1%減り、地域別では唯一、減少を記録した。億万長者が6万5500人いる米国を中心とした北米地域は7万人で地域別トップ。欧州も、ドイツとスイスの14%増などで、5万8065人の億万長者を擁している。アジアも4万2895人が4万4505人に増え、景気回復を印象付けた。
ブラジルの億万長者数が減ったのは、何と言っても景気の減速が長引いているため。2012年の国内総生産(GDP)は0・9%の伸びに止まり、負債の増加などで先行き不安に陥った消費者が買い控えによる自己防衛をはかるため、工業などの売上も伸び悩む、在庫が増えれば生産も縮小せざるを得ず、雇用減にも繋がるなどの悪循環も起きている。
ブラジルの億万長者の筆頭格だったエイケ・バチスタ氏の資産減少の影響も大きく、億万長者の資産合計が8650億ドルから7700億ドルにと11%減った内、約200億ドルはエイケ氏の損失分だという。
とはいえ、ブラジルがラテン・アメリカ一の富裕国である事は変わりなく、2位以下は、メキシコの3365人、アルゼンチンの1110人、コロンビアの635人と続いている。
なお、BRICS諸国では、中国の億万長者の数が1万1245人から1万675人に減少。景気減速はブラジルだけではない事を実証した。(10日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙サイトならびによりインフォ・マネーより)