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食品見本市に7社2県=日本の農水省が主導し=酒や豆腐、ユズも好評=商談成立した企業も

ニッケイ新聞 2013年9月19日

 日本の農林水産省とJETROが提携し、ブラジル市場進出をねらう日本企業7社と島根、三重の2県が、16日から4日間、サンパウロ市アニェンビー会場で開催中の食品見本市『Alimentaria Brasil』に出展している。日本酒や、手作り豆腐など珍しい食品の試食コーナーには人だかりができ、柚子や山椒味の調味料も好評を博した。いくつかの企業は当地の各種見本市に数度参加済みで、長期的に腰をすえて取り組んでおり、今回商談が成立する例もあったようだ。

 出展したのは農水省はじめ、今後ブラジルへの参入を狙う企業、すでに当地で輸入を始めているが更に商品の販売拡大を図りたい企業の2種。島根、三重2県では、〃地産伯商〃を打診した県にJETROが参加を勧め、日本酒、調味料、和菓子などの企業が応じた。
 評判を呼んだ商品の一つは、ミナミ産業株式会社(三重)の「萬来鍋」。耐熱性に優れた萬古焼で作られており、豆乳とにがりを混ぜて10分程度加熱するだけで、絹ごし豆腐のような滑らかな豆腐が出来上がる。出来立てに柚子塩をかけると、湯豆腐のような味わいだ。
 JETRO三重貿易情報センターの田中井将人さんは「砂糖や果物を入れてカスタマイズもできるので、ニューヨークではお洒落なデザートバーでも活用されている」とアピールした。価格は日本で4千円弱。
 同じく柚子味で人気だったのが、日本名門酒会(東京都、会員約百社)出品で、甘さが特徴の「山柚子絞り」(司牡丹酒造、高知県)。同会は1975年に発足した蔵元・酒販店による組織で、90年前後から輸出を本格化させている。地酒の普及をめざす大和商事との出会いを機に、3年前から当地への輸出を始めた。
 金子尚恭・国際流通チーフマネジャーは「輸入済みの酒だけを出展したが、柚子酒は圧倒的な人気。今後も、味にインパクトがあるユニークなものを広めていきたい」と意気込んだ。
 人気酒造株式会社(福島県)でも、甘みがあるスパークリング酒への反響が大きく、「こんなにスパークリングを好む国はない」と遊佐勇人代表取締役も驚いた様子。米、米麹、水と原材料はシンプルだが果物のような風味がある。アルコール度は7度と低く、ジュース感覚で飲める一品だ。商談が成立したため、近々入荷されるという。
 柚子味と並んで好評だったのが、地元企業の海外進出を支援する有限会社「Equipe」(岐阜県)が出品した山椒粉。在日ブラジル人二世の川本豊取締役は「レストランでの反応がよければ輸出も考えたい」と話した。
 また、1年前から和菓子類を輸出している島根県は、桜味、柚子味など味も多彩で、三大そばとしても有名な出雲そばの輸出を目指すという。
 中道弘明・同県貿易促進支援室の中道弘明さんは「そばの普及はまだまだだが、将来を見込んで先行投資をしていきたい」との方針を語った。
 その他、大和商事、白鶴酒造、かねさ、ワールドリンクスなどが日本酒や味噌などを出展したほか、農水省とJETROにより日本茶や日本酒の展示やセミナー、料理の実演などが行われた。
 また同省は日本食普及と理解を目指し、17日から6日間、サンパウロ市の日本食店「エスパッソ和」で寿司の実演や日本酒飲み比べ、抹茶の試飲会も開催している。