ニッケイ新聞 2013年9月20日
日本に芥川賞、アメリカにピューリッツァー賞、イギリスにブッカー賞といった著名な文学賞があるように、ブラジルでも権威とされている文学賞がある。それがジャブチ賞だ。
ジャブチ賞は1959年に制定されたブラジルの文学賞で、ブラジル書籍評議会によって運営されている。
文学賞の場合、一般的に注目されるのはやはり小説だが、ジャブチ賞の対象は幅が広く、小説以外にも、詩、児童文学、伝記、ルポルタージュ、教科書などのジャンルがある。また、部門別で見た書物も、建築・市街化計画や美術、教育、人文科学、自然科学、通信など多岐にわたる。賞の数は年によって多少の違いはあるものの、例年25〜30といったところだ。
この賞はブラジルの作家たちにとっては名誉のバロメーターの一つとでも言うべき賞であり、過去にジョルジュ・アマード、ラシェル・デ・ケイロス、ルーベン・フォンセカ、リジア・ファグンデス・テレス、ジョアン・ウバウド・リベイロといった過去半世紀のブラジルを代表する作家たちも受賞してきている。
今年度のジャブチ賞のノミネート作品は27部門で10作品ずつ選ば、18日に発表された。最終選考の結果は10月17日に発表される予定だ。気になる小説部門ではダニエル・ガレラの「バルバ・エンソパーダ・デ・サンゲ」やズエニール・ヴェントゥラの「サグラーダ・ファミリア」が有力と見られている。
なお、ブラジル絡みの文学賞としては、毎年5月に発表される、ポルトガル語で書かれた文学作品を対象としたカモンエス賞も重要で、こちらはブラジルのみならず、ポルトガルやアフリカのモザンビーク、アンゴラなどの文学作品が賞を争う。