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ベネズエラ=大統領が米国領空通過できず=同盟国に波紋が広がる

ニッケイ新聞 2013年9月21日

 ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領が中国を訪問するための飛行機に対し、米国が領空の通過を拒否し、中南米諸国に波紋が広がっている。20日付エスタード紙が報じている。
 ベネズエラのエリアス・ハウア外相は19日、今週末にマドゥーロ大統領が中国を訪問するために利用する飛行機が、米国領のプエルトリコの上空通過を拒否されたことを明かした。
 結局、飛行航路を変更したために問題はなくなったというが、ハウア外相は米国政府に今一度の再考を促したという。
 米国はベネズエラで4月15日に行われた選挙で、マドゥーロ氏が対立候補のエンリケ・カプリレスに僅差で勝利したことを認めていないが、ハウア外相は「どの国であれ、一国の大統領の飛行を拒否するというのはもってのほか」と遺憾を表明した。
 これを受け、米州ボリバル同盟(ALBA)諸国の間では、24日にニューヨークで行われる国連総会をボイコットしようとする動きが起きている。ALBAの加盟国にはベネズエラのほか、ボリビア、エクアドル、キューバ、ニカラグア、ドミニカといった国々が含まれている。
 ボリビアのエヴォ・モラレス大統領は、「反資本主義、反帝国主義の国の人は米国領空を安心して飛べない」と抗議した。同大統領は、米国国家保安局による諜報活動疑惑を暴露したエドワード・スノーデン氏受け入れに前向きと解釈される発言を行った7月に、欧州4国から領空通過を拒否された。エヴォ大統領は今回の件を受け、駐米大使を引上げる意向も示している。
 マドゥーロ大統領は21日から24日までの予定で中国を訪問し、習近平国家主席などと石油や産業に関する会議を行う予定だ。
 なお、この件に関して米国政府側は正式な声明を出していない。