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〃ブラジル・コスト〃が壁=ザラがブラジル戦略に苦戦=脆弱なインフラ等が足かせに

ニッケイ新聞 2013年9月24日

 スペインのアパレルメーカー・インディテックスが展開する衣料ブランド「ZARA(ザラ)」は1999年にブラジルに初進出、現在41店舗を経営するが、〃ブラジル・コスト〃に苦戦し、同社の当初の見込みよりも拡大のペースが遅れていると22日付フォーリャ紙が報じた。
 ビューロクラシー(形式的な官僚主義)、複雑な税制、非熟練労働力、脆弱なインフラとロジスティックス——。86カ国に1770店舗を展開する衣料業界最大手の同社だが、経営幹部たちはブラジルは「世界で最も難しい国」と頭を悩ませているようだ。
 同社はデルコンピュータやトヨタ自動車と同様のサプライチェーン方式を採用し、顧客起点で開発した商品を小ロットで生産し、各店舗に短期間で納入する。そのため、全世界では1770店舗の商品が2、3週間毎に一新される。
 ブラジルの店舗にはスペインから3日で商品を航空輸送する計画だったが、当地の空港インフラの悪さや輸入障壁などが弊害となり、当地に配送センターを設置する必要が生じ、商品の40%を現地で生産、調達している。ザラの世界戦略は、アジアを含む全世界で商品を生産してスペインの三つの配送センターに納入、それを86カ国に飛行機やトラックで運送するというやり方のため、ブラジルのみ、〃例外〃措置が取られているといえる。
 99年に最初の店舗を開けたときの目標は「6年で40店舗展開」で、進出から14年目で41店舗という現状は、目標達成に倍の時間を要したということも意味する。
 専門家によれば、同社は国内では業界10位以内に入っているものの、レネー(Renner)、リアシュエロ(Riachuelo)、オランダに本社があるC&A、等の足元にも及ばないという。C&Aは衣料業界の競争がさほど激しくなかった70年代に当地に進出、〃ブラジル・コスト〃に適応し、当地にあった経営戦略で定着したと考えられる。
 ブラジルザラ物流担当のマウロ・フリードリヒ理事は、スウェーデンのへネス・アンド・マウリッツ(H&M)や米国のGAPなどの競合他社の当地進出に関し、「彼らは10店舗開けるのにも苦労するはずだ」と話す。
 欧州のザラの商品は低所得者にも手が届く価格で売られているが、割高価格となる当地ではAクラスの高所得者向けで、それが顧客や店舗数の伸び悩みの要因でもある。生産コスト削減や物流の迅速化などのためには現地生産比率を上げることが有効だが、供給業者の開発は容易ではなく、2011年には当地の供給業者が、南米出身の労働者を奴隷状態で働かせていたことが発覚して問題となったこともあった。