ニッケイ新聞 2013年9月25日
国際労働機関(ILO)が23日に発表した報告書によれば、ILOの関係条約が原則的に禁じる「児童労働」に従事する子供の数が、ブラジルでは2008年から2011年の3年で、210万人から160万人に減少した。24日付エスタード紙が報じた。
3年で約50万人、すなわち約24%減少したことになるが、ILOはこの結果を「他国にとってのロールモデル」と強調した。子供の数に占める割合でみると、08年は5〜15歳の子供の5・4%が働いていたのが、11年は4・7%に減ったことになる。
ただ、ブラジルより経済発展が遅れている他の南米諸国との差は顕著だ。南米全体でみると、08年から12年の間に1410万人から1250万人に減り、子供の人口に占める割合も10%が8・8%に減った。ただし、この減少分の約3分の1はブラジルでの減少だ。コロンビアでは逆に数が増えている。
児童労働の撲滅はここ数年、ILOが掲げている重要課題の一つで、世界全体でみると2000年時点で推定2億4500万人(全体の16%)だったものが昨年は1億6800万人(11%)に減少した。1億6800万人のうち4千万人は14歳以下で、8500万人が危険な労働をしている。
数の上だけみると、世界全体では12年間で31%も減少したことになり、記録的な減少だが、ILOは2016年までに児童労働を撲滅するという目標を掲げているため、報告書でもこのままでは達成不可能と指摘している。ILOでは「完全な撲滅には、経済成長だけでは不十分。法体系の整備や実践的な取り組み、戦略などが不可欠」と分析しており、ガイ・ライダー事務局長も「(減少は)遅々としている」と懸念を示す。
世界的に見ると、児童労働の現場の60%は農業で、17歳以下の9800万人が農作業をしていることになる。これに対し5400万人はサービス業、1200万人は工業に従事している。
また、児童労働の21・4%がサブサハラアフリカ地域、9・3%がアジア太平洋地域、8・8%がラテンアメリカとカリブ海地域、8・4%が中東、北アフリカ地域で起きており、68・2%が家庭内での無報酬の労働となっている。