ニッケイ新聞 2013年9月26日
技術力や開発能力を駆使して大企業の問題解決に参加、外国の企業とも競合できる製品やサービスを提供して成長している零細・小企業がある。
国内最大手のペトロブラスの場合、零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)の支援で始まった生産性向上プログラムの中で中心的な役割を占める小企業との年間平均契約数は、ここ4年間で、2005〜07年の平均の2倍となる3000件に増えた。
ペトロブラスやVale、Gerdauなどの主要企業7社が抱えるプロジェクトは66あり、その実現を支える零細・小企業の数は1万7千に及んでいる。Sebraeのルイス・バレット会長は、GM、フォルクスワーゲンといった自動車製造会社や食品大手のネスレなどの取り込みが成功すれば、それを支える零細・小企業の数も増えるはずで、その数は2014年中に2万になると見込んでいる。
ペトロブラスを支える零細・小企業の一例は、潜水ロボットと結合させて3千メートルの深海にある石油輸送用のパイプの傷みを監視する、クラブ・トゥール(Crab Tool)と呼ばれる機具を開発したリオデジャネイロ州のAtibatecだ。共同経営者のダニエル・カメリニ氏は「定期的な修理や点検で、大幅な経費削減が出来たはずだ」と胸を張る。
クラブ・トゥールを使い始める前のペトロブラスは、船を出して目視という形で毎日の点検業務を実施。10億ドルの費用がかけても、輸送パイプの問題はある程度のオイル漏れが起きるまで気づかないという事が多かったという。
Ativatecが開発、3社との競合を経て選ばれたクラブ・トゥールは1機8万レアル。リオデジャネイロ州沖のカンポス油田でも使われている。
セルジッピ州のネジ製造会社CPFはネジの販売会社から製造に転じた会社で、石油の輸送パイプや原油掘削のための設備で使うネジを専門的に扱う。製造量は月20トンで、毎月の収益は40万レアル。収益は販売だけやっていた時の6倍になった。共同経営者のエドゥアルド・マリーニョ氏によれば「納入先が要求する品質のネジである事を証明するのが一番大変だ」が、供給会社や競合会社も会社立ち上げを支援してくれたという。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙より)