ニッケイ新聞 2013年10月1日
聖南西文化体育連盟(UCES、山村敏明会長、傘下25団体)の『2013年第3回定期総会』が21日、サンパウロ州サルト市内であった。各団体の代表者ら33人が出席して開かれ、資産家の天野鉄人氏(ピニャール移住地在住)の提案で昨年から始まった『100万レアル基金』について、山村会長から払い込みに大きな遅れが出ていることが報告された。賛否両論あった〃天野基金〃だが、早くも暗雲が立ち込めているようだ。
山村会長は「昨年度の払込分は70%が達成されているが、本年度はまだ1件も入金がない」と報告。期限は年内と定められているものの、まとまりに欠ける現状に危機感を示した。
解決への具体案として、払込の最終年度を当初の2014年から1年間延ばすことが提案され、多くの出席者が賛意を示したものの、最終的な結論は次回に持ち越された。
山村会長は「やはり基金創設に対し納得しきっていない団体もある。そういったところが昨年分をも支払っていないのを見て他団体も躊躇してしまっている。なかなか難しい」と話した。
その他、聖南西教育研究会の安田満教育部長から、会創立30周年の記念誌の作成が報告されたほか、各団体のイベントや会館における消防署への手続き、自治体などへの公的資金の導入について積極的な意見交換が行われた。
第一回分の支払いを済ませているコロニア・ピニャール文協の貴田孝平会長は「文協会館のすぐ近くに住んで、色々と援助をしてくれている天野さんの手前、初回は会長判断で支払ったが、基金の目的や意義が明確に説明されていない以上、会員らに対して納得いくような説明が出来ていない」とため息をつく。「あまり無碍にも出来ないが、支払い分に対してどれだけのメリットが戻ってくるかも不明な状況ではちょっと…」と複雑な心境を吐露した。
一方で、マイリンキ文協は、他に先駆け今月29日に2回目の払込を完了させた。折田森部パウロ会長は「まとまった額の出費は痛いが、天野さんはそれ以上のお金を出してくれる。UCESにとっても良い話。3回目まできっちり払うつもり」と前向きな姿勢を示した。
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【百万レアル基金】UCES傘下団体が、それぞれの規模や運営状況によりA〜Cの3段階にランク付けされ、それに見合った金額(6千、3千、1500各レ/年)を積み立て、その合計金額の2倍を天野氏が加えるとともに、UCESが企業などから集めてきた寄付金と同等の額を同氏が寄付し、計100万レアルの基金をつくるというもの。
〃コロニア、ブラジルを聖南西から変えよう〃という天野氏の掛け声で、3年での達成を目標に昨年から始まったが、当初から「何に使うのか」「役員が交代したら問題が起こるのでは」「3年の途中で支払いが滞った場合は?」などの懸念が会員から上がっていた。