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日本企業の投資ブーム再び=ブラジル市場に熱い視線=8カ月で昨年以上の投資額=ダイキンは北伯に工場建設

ニッケイ新聞 2013年10月2日

 日本の景気回復に伴い、日本企業のブラジルへの投資熱が再び高まっていると9月28日付エスタード紙が報じた。今年1月から8月までの直接投資額は昨年1年の14億7100万ドルを上回る16億5700万ドルに上り、諸外国の間では6番目に多い金額となっている。経済の停滞で世界的なブラジルへの投資ブーム熱はほとぼりが冷めつつあるが、日本側は20年にわたる国内の不況と〃控えめ〃だった近年のブラジルとの経済関係を盛り返すかのように、ブラジル市場の購買力の高まりに期待をかけ、熱い視線を注いでいる。

 日本からブラジルへは1950年代に最初の企業群が進出し、70年代に投資ブームが到来。80年代と90年代は両国がそれぞれ不況に陥ったが、2000年代に入って回復傾向を見せた。特に08年以降の5年は毎年の投資額が10億ドルを超えており、2011年は75億ドルに達した。
 空調事業では世界最大手のダイキン工業(本社大阪市)が2年半前に当地に進出、モジ・ダス・クルーゼスに今年8月から小規模な生産所が設置された。マナウスに建設中の工場は来年7月から稼動予定だ。10月1日付けで当地現地法人の社長に就任したルイス・カルロス・カブラル氏は「1月には工場に機械類を導入したい。1億ドル規模の投資から始める」と期待する。
 他にもかつてイシブラス造船所として造船事業を展開し、1994年に撤退したIHI(旧石川島播磨重工業)は、ペルナンブコ州のアトランチコ・スール造船(EAS)への出資に参画する形で再びブラジルに進出しており、ホンダはサンパウロ州内陸部のイチラピーナ市に第2工場を建設中だ。
 9月23、24両日にミナス州ベロ・オリゾンテで開かれた「第16回日本ブラジル経済合同委員会」(日本経団連、ブラジル全国工業連盟=CNI=の共催)では、インフラ整備、エネルギーの2分野に議論が集中。交通機関とロジスティックの建設工事を早急に進め、日本の技術を導入し、当地で生産コストを抑えて作業を進めるという目標で合意した。
 同会議では今後の課題として日本とメルコスルとの提携が上げられ、日本の企業団体とともに、2015年に発足する新政権に具体的な提案をするための討論を来年行うための準備はサンパウロ州工業連盟(Fiesp)とCNIが進めることになった。
 関係者によれば、日本側が提案している協定の内容はブラジル側の諸規定の透明化、高い関税率などに及ぶ〃野心的〃なものだという。日本は世界一の豚肉輸入国だが、7年の商談の結果、8月にブラジル産では唯一となるサンタ・カタリーナ州の豚肉を解禁し、その流れに弾みをつけたい考えだ。
 CNI産業開発部長のカルロス・エドアルド・アビジャオディ氏は「我々は日本側の農業分野で多くの問題を感じている。協定を結ぶことによる大きなメリットは関税にとどまらない様々な障壁の撤廃を議題に上げることだが、それはブラジルがメルコスルの中で確固とした存在感を保てるかどうかに依存する」との見解を示した。