ニッケイ新聞 2013年10月2日
「84年前に種が蒔かれたパラー日系社会は収穫を終え、希望の種を蒔く時代に」—。汎アマゾニア日伯協会の生田勇治会長は先月20日夜、シモン・ジャテネ州知事も出席した式典で、そう同地コロニアの〃成熟〃を表現した。在ベレン総領事館も共催し、16日に幕を開けた日本週間は、展示や舞台で様々な日本文化を紹介、会場となった協会前の通りであったパレードも市民の目を楽しませ、最終日は老若男女が一体となった盆踊りで幕を閉じた。生田会長は「もうこの場所は無理ですね」と立錐の余地もないほどの人で賑わう会場を見渡し、「来年はアマゾン入植85周年の節目。会場を替え盛大にやりたい」とやる気をみなぎらせた。
式典には、生田会長、ジャテネ州知事をはじめ沼田行雄在ベレン総領事、アマゾニア日伯援護協会の八十島エジソン会長、Y・YAMADAの山田純一郎氏、ほか主要日系団体の幹部が顔をそろえた。
生田会長は嚆矢となった1929年のトメアスー移民に触れ、日本人が手がけた胡椒・ジュート栽培がアマゾン経済を支えた歴史を強調しながらも「パラーの人々が受けいれてくれたからこそ、現在両国の友好関係がある」と感情たっぷりに話した。
ジャテネ州知事も「習慣などの違いは人との繋がりを妨げない」と両国民の睦びつきを確認し、州内日系人の活躍を高く評価。日本政府の協力にも感謝の意を表した。
続いて、琴の演奏、合唱、コロニア歌手らの舞台が披露され、会場は和やかな雰囲気に包まれていた。
館内では戦後移住60周年の記念した写真展、墨絵、琴のワークショップなども開かれ、多くの人の関心を呼んだ。
入り口広場には県人会の屋台が軒を並べ、雰囲気を盛り上げた。鹿児島、広島、香川、北海道、熊本、宮崎の計6県が参加、〃古里の味〃を提供した。
北伯県人協会の山本陽三会長(78、香川)は「(屋台の効果で)若い人たちが会に参加し始めている」と喜ぶ。「来年からは他県人会の参加を促し、祭りを盛り上げたい」と笑顔を見せた。
岡島博さん(71、群馬)が会長を務める群馬県人会には、写真やポスターとともに名産のダルマが並んだ。「あまり売れないけど由来は分かってくれたようですね」と汗をぬぐった。
協会前の通りで21日には、鼓笛隊や花笠音頭がパレード。浴衣姿で見物を楽しんでいた沼田総領事、由紀子総領事夫妻は今年で3回目の参加。「益々賑やかになってきている。今後も協力していきたい」と語った。