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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月5日

 アメリカの与野党対立が深刻になり暫定予算が可決できないために政府の機能が一部停止になってしまった。空港や国防などの重要な部門は正常だが、予算がないために国家公務員80万人が自宅待機に追いやられ国立公園や博物館、美術館も閉鎖である。尤も、アメリカの政府閉鎖は、これまでに何回も経験しているし、これが長期化すれば問題が大きくなり国政に深刻な影響を与えるだろうが、今は早期解決をと願うばかりである▼事の始まりは、オバマ大統領が推進した医療保険改革を巡る民主党と保守党の対立である。日本の国民保険制度がないアメリカでは、6人に1人が無保険である。これを改革しようとするのが、医療保険改革であり、議会審議も難航したが、それでも2010年になってやっと成立したけれども、共和党強硬派には今も抵抗感が強い。こうした背景があり、民主多数の上院は医療保険を盛り込んだ暫定予算を可決した▼ところが、保守多数の下院は暫定予算を否決し政府閉鎖となった。この解決のためオバマ氏は民主と保守両党首脳と会談したが、保守党の反対で物別れになったのは、なんとも残念に尽きる。もし、この対立の構図が続けば、17日に採決予定の連邦債務最上限の引き上げに悪影響を与えかねない。連邦債務は既に1630兆円の上限に達しており、もし議会が上限引き上げに合意しないと、新国債発行もできないし国債償還・利払いも行き詰る債務不履行に陥ってしまう▼これが現実となれば世界経済は混乱し世紀の大不況も考えられ、この与野党対立も幕引きを視野に入れないと大変な事態になる。(遯)