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アルゼンチン=大統領が脳内出血で休養=議会選挙の応援は出来ず=難しくなる3選への準備

ニッケイ新聞 2013年10月8日

 アルゼンチンのクリスチーナ・キルチネル大統領(60)に脳内出血が見つかり、医師団が1カ月間の休養を命じた。これにより、10月27日の議会選挙に向けたキャンペーンへの同大統領の参加は不可能となり、3選のための憲法改正などが難しくなるとの見方が広がっている。
 クリスチーナ大統領が休養を命じられたのは、強い頭痛と不整脈を感じて診察を受けたところ、脳内に出来た硬膜下血腫が発見されたためだ。この病気は、高齢者が頭部に外傷を負った後などに脳の表面に血液がたまって起きるもので、1カ月間の休養後も血腫が残っていれば手術となる可能性が強い。同大統領は8月12日に頭部に外傷を負っていたという。
 休養期間中はアマド・ボウドウ副大統領が任務を代行する事になる。アマド副大統領は、ブラジルやフランスをバイクで旅行する計画をたて、5日はブラジリアに居たが、知らせを受け、急遽帰国の途に着いた。休養の内容が全ての公務を休むほどのものか、昨年行われた甲状腺摘出手術の後のように、閣議などは自らの手で開催する程度なのかなどの詳細は明らかにされていない。
 大統領がケガをしたとされる8月12日は、今月27日に行われる議会選の予備選の結果が出た翌日だ。予備選挙では、有権者の40%が住むブエノスアイレス州で、クリスチーナ大統領の「勝利のための前線」候補者が、野党リーダーで企業寄り、ティグレ市という小さな市の市長のセルジオ・マサ氏に敗北するなど、10年にわたるキルチネル夫妻による政権で最悪の結果となった。
 予備選での「勝利のための前線」の得票率は26%に留まっており、27日の本番でもこの状況が変わらなければ、クリスチーナ大統領の支持者らが目指している3選出馬を可能にするための憲法改正は不可能となる。
 クリスチーナ大統領自身は3選について考えていないというが、同大統領の支持率は、夫のネストル元大統領が死去した時、それまでの34%が60%にと急伸し、11月の大統領選も圧倒的な差で勝利。昨年の甲状腺手術の時も、同情票を集めて向上した。
 但し、甲状腺の手術後は、悪性とされていた腫瘍は良性だったと発表され、支持率が低下。現在は30%程度となっており、一部では、今回の血腫は支持率向上を狙った仮病とか、議会選で敗北した時のための言い訳材料と見て、真偽のほどを疑う声も広がっている。
 ジウマ大統領は6日、ツイッターでクリスチーナ大統領を励ますメッセージを送っている。