ニッケイ新聞 2013年10月9日
国連の専門機関・国際電気通信連合(ITU)が7日に発表した年間調査報告によれば、ブラジルの携帯電話使用料金は、世界161カ国で最も高いことがわかった。2011年から12年にかけての携帯電話料金は、世界的に下がってきているが、このレポートではブラジルでは変わっていないという結果が出た。
調査はサンパウロ市内での平均の値段をもとにしており、調べによれば、同じ電話会社の携帯電話同士の場合、通話が集中するピーク時間以外の料金は1分で71米セント、異なる電話会社同士の場合は74米セントだった。アジア諸国では格段に安く、同じ会社同士の場合、香港とインドでは1分で1セント、異なる会社同士の場合、香港では1セント、インドでは2セントだった。
ブラジルはアルゼンチンやメキシコの2倍、米国の3倍、スペインの5倍の料金という結果だった。ブラジル人の平均月収の6・7%(平均60ドル)が携帯電話サービスに使われており、これは韓国や中国の30倍だという。
ブラジルの次に高かったのはニュージーランドで、同じ電話会社同士、異なる電話会社同士の通話のいずれも70セントだった。
料金が高い理由として、サンパウロ大学のマルセーロ・ズッフォ教授は「インフラへの投資の乏しさ、需要の高さ、税金の高さ」などを挙げる。調査ではスイス、フランスなどの先進国でも料金が高いという結果が出たが、「これらの国々でも税金が高い。でも、サービスの質となると(ブラジルとは)違う」と説明する。
ただし、電気通信会社の組合シンディテレブラジルはこの結果について、「ブラジルの現状を反映していない」と指摘する。国内の通信業界では格安プランも含めた携帯電話料金は多様だとし、「全てのプランを考慮すれば、1分の平均通話料金は、税金込みで15センターボ(6・8米セント)。しかも価格は5年で半額に下がっている」と伝えている。(8日付フォーリャ紙、エスタード紙より)