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愛人に扶養料受給の権利は?=10年後も最終判決出ず=最初の訴えは2004年

ニッケイ新聞 2013年10月10日

 離婚あるいは別居後に、夫が妻に支払う生活費、扶養料などの諸手当は、愛人も受け取る権利がある?—。既婚男性と22年愛人関係にあったリオ市出身の女性が、男性と別れた2004年、その権利を訴えて起こした裁判は、10年近く経った今でも解決をみておらず、高等裁は8日、最終判決を見送った。
 リオの地方裁判所は第一審で、その女性と娘への養育費として、男性に対して毎月5最賃の扶養手当の支払いを命じた。「関係が20年以上続き、経済的に男性が女性を援助していたことが証明された」と判断されたためで、この金額は男性の給料から天引きされるようになった。
 関係が終わった04年、女性は病気で、2人の間には娘が1人いた。その男性は1975年に結婚したが、82年から04年までの22年間、その女性と関係を持っていた。
 訴えを起こした女性は08年に亡くなったが、死後も1年以上天引きは続き、扶養料が女性の口座に振り込まれていた。男性がこれを不服として控訴したため、口座への振込みはいったん差し止めとなった。男性は、その女性とは正式な婚姻関係にはなく内縁関係だったために「扶養料の支払いは不当」と主張し、それまで払った金額の全額返済を求めている。
 それまで高等裁では、愛人に関する権利の審議は遺族年金、財産分与のみで、扶養料を受け取る権利があるかどうかの審議をしたことはなかった。一人の判事は、愛人が扶養手当を受け取る権利があるかどうかの判例になりうると判断したが、4人の判事は「死亡後は受け取る権利はなかったはず」と主張。ただし、このお金が扶養を目的としているため、返還することも認められないと判断したため、その男性と2人の間の娘を含め、亡くなった女性の代わりに扶養料を受け取る権利があると申し出る人が出てくるまで、20日間の猶予を設け、審議を一時中断することにした。
 ただし、その女性に代わる権利の保持者が認められた後でも、判事らはこの件が、愛人が扶養料を受け取る権利に関する事例の判例となりうるかを審議する必要がある。何人かの判事は、この件では女性が亡くなっているため、判例とはなりえないと判断しているためだ。(8日付G1サイト、9日付エスタード紙電子版より)