ニッケイ新聞 2013年10月10日
8日、上院で、新政党には「フンド・パルチダリオ」(政党資金)と政見放送の時間帯を与えないとする法案が承認された。この法案は4月に下院を通過したが、マリーナ・シウヴァ氏の新政党・持続ネットワーク(RS)結党への妨害行為と解釈され、上院での審議が差し止められていた。7日付伯字紙が報じている。
この議案は、4月17日に下院で承認された時点で既に物議を醸していた。発案者のエジーニョ・アラウージョ下院議員(民主運動党・PMDB)によると、この法案は新政党結党に伴う議員の離脱によって損失が起こりかねない旧所属政党の利益を保護するためのものだ。政党資金や政見放送の時間は各党に所属する下院議員の数に比例して決められるが、現行法の規定に従うと、これまでの選挙の実績がない政党でも、移籍議員の数が多ければそれなりの政党資金や政見放送を与えられる一方、議員を失った旧党には何の補償も与えられなかった。
これは「理にかなっている」と判断されてはいたものの、この法案を適用させようとしたのが、14年大統領選での世論調査で支持率2位のマリーナ氏が新党立ち上げを表明したタイミングと同じだったことで問題となった。議会ではこれを14年の大統領選から適用させようと動いていたが、ロドリゴ・ロレンベルグ上院議員(ブラジル社会党・PSB)が最高裁に審議中止を訴え、ジルマル・メンデス判事が暫定令で差し止めを命じたため、上院での審議は行なわれなかった。
メンデス判事の暫定令は6月の最高裁で否定され、上院での審議が可能になったが、上院は様々な理由を挙げて審議を延期。14年大統領選に間に合う期限の5日までにRS成立が叶わなかったマリーナ氏がPSB加入を発表後、最初の本会議で承認したことになる。
この法案はジウマ大統領に回され、問題がなければ裁可されるが、同法案は大統領所属の労働者党(PT)やPMDBが通過に熱心だったため、特に波乱の要素もなかった。同法は10月5日以降に審議されたため、14年大統領選には適用されない。選挙関係の法の整備は選挙実施の1年前までに決定しなくてはならないためだ。9月に党承認を受けたばかりの連帯(Solidariedade)と社会秩序共和党(PROS)は適用を免れた。
この法案が適用される政党第一号は、14年大統領選に間に合うように新党承認されなかったマリーナ氏のRSとなる。つまり、マリーナ氏が18年の大統領選へRSからの出馬を希望しても、14年の下院議員選挙に候補を立てられないRSは下院議員ゼロとなり、政党資金や政見放送でも不利になってしまう。
マリーナ氏は14年選挙前の党移籍最終日の5日、「RSが政党承認を受けるまで」との期限付きで同じく大統領選出馬が有力視されるエドゥアルド・カンポス氏が党首をつとめるPSBに加入したが、14年の大統領選後にRSに戻っても苦しい戦いを強いられそうだ。