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社会へ羽ばたく自閉症児を=PIPAで職業訓練開始=JICAなど3者が連携

ニッケイ新聞 2013年10月10日

 援協、JICA、社会福祉法人「トポスの会」(東京都)の3者が連携し、今年7月から自閉症児療育学校「青空学級」(PIPA)への支援を通した自閉症児療育プロジェクトに着手している。3年間を当面の期限とし、生徒の職業訓練をスタートさせ軌道に乗せることが目的。自閉症児教育が立ち遅れているブラジルで社会に羽ばたく〃働く自閉症児〃の育成を目指す。

 PIPAでは最年長の生徒が15歳を迎えており、そろそろ職業訓練を行って自立した社会人として世に送り出す準備が必要となっていた。
 しかし、葉山武道・PIPAホーム長によれば「ブラジルが自閉症児を知的障がいと認めたのはわずか9カ月前。教育も遅れていて、基本能力が育っても就職できるところまでは行っていない」。
 そのため、発達障がい者の就労支援施設を運営しているトポスの会が支援にあたるほか、三枝たか子・JICAシニアボランティアが再来伯し現地で指導を行なう。三枝さんは、「生活療法」(当地ではTVD=Terapia de Vida Diariaと呼んでいる)を生んだ武蔵野東学園の元教員で、当地やウルグアイに療法を導入した。同学園では、卒業した自閉症児400人以上が仕事を得て働いており、プロジェクトを成功させる上での強い味方だ。
 薬の使用が一般的なブラジルにおけるPIPAの認知度はまだ低い。しかし100人に一人が自閉症児とも言われる今の時代、親亡き後の自立を支援する教育は喫緊の課題とされている。
 葉山ホーム長は「まずはPIPAで結果を出して、サンパウロ市内にもTVDを定着させていきたい」との思いを語った。