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経済基本金利が9.5%に=累積インフレ率低下も=引き締めは14年も継続=貯蓄はポウパンサが有利

ニッケイ新聞 2013年10月11日

 中央銀行の通貨政策委員会(Copom)は9日、経済基本金利(Selic)を前回8月から0・5%上げて9・5%とすることを決めた。これで次回のCopomで10%に達する可能性も生じて来た。10日付伯字紙が報じている。

 直近12カ月の累積インフレ率が3月に政府目標上限である6・5%を超えたことで、年7・25%まで下がっていたSelicの引き上げが始まったのは4月17日のCopomからだ。それまでは、経済減速化を懸念するジウマ大統領の消費活性化と工業界支援の意向を受け、11年9月から12年10月まで、10回連続で引き下げられて来ていた。
 4月以降、Selicは段階的に上昇し、直近12カ月(年間)の累積インフレ率も6月の6・6955%をピークに下がりはじめた。ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した9月の年間インフレ率は5・86%と、13年に入ってはじめて6%を割った。
 だが、その一方で9月の拡大消費者物価指数(IPCA)は8月の0・24%から0・35%へ上昇しており、依然インフレへの懸念材料は残った。9月のIPCA上昇の原因は、航空券が16・1%、フランスパンが3・4%上昇したことなどの影響だ。ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)がIPCAとは違う基準で測定しているインフレ率、総合物価指数(IGP—DI)は9月、8月の0・46%から約3倍の1・36%に上昇していた。
 今回で5回連続の引き上げとなったSelicだが、次回(11月27日)のCopomでは年10%に達するのではないかとの見方が強まっている。中央銀行は、2013年末の年間累積インフレ率は5・80%まで下がると見ており、14年は目標中央値の4・5%を目指す意向だ。
 中銀が今後のインフレを恐れている背景には、米国の中銀にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の動きが不確かなことにある。FRBは9月に月額850億ドルの資産購入継続を宣言したが、FRBの政策が変更されてこの額が2014年に下がれば世界経済が混乱するとの懸念がある。14年はジウマ大統領が再選を目指して大統領選に挑む年でもある。
 また、今回のSelicの引き上げでも、引き続き、投資ファンドよりもポウパンサの方が有利な状況が続いている。Selicが9・5%に上がった後のポウパンサの年利は7・19%で、管理手数料0・5%のファンド(年利7・44%)でさえ、1年以上置かないとポウパンサ以上の利子は付かないため、短期の預け入れにはポウパンサの方が依然、有利だ。