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「右翼」に「左翼」に「宗教」=ブラジルのベストセラーの傾向

ニッケイ新聞 2013年10月15日

 14日付フォーリャ・デ・サンパウロ紙によると、現在のブラジルのベストセラーには、「左翼」「右翼」そして「宗教」という傾向があるが、アメリカなどと違って、「左翼」や「右翼」といった図式が政治と直接結びついてないのも特徴だと指摘している。
 最近のベストセラーで「右翼派」の代表としてあげられているのが、レアンドロ・ナルロッチ氏の書いた「政治的に正しくない世界史ガイド」やオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏による「馬鹿にならないための最低限の知識」で、両著は共に「ヴェージャ」誌の10月8日付ベストセラー・ランキングのノン・フィクション部門で5位と4位だ。
 これらの著作では、共産主義的な思想に関しての批判的な記述がなされているという。前者ではレーニンや毛沢東などの歴史的な社会主義の歴史的指導者の批判などが主になっている。
 一方、「左翼派」の代表は、「ヴェージャ」誌のランキングで9位に入ったパルメリオ・ドリア氏が書いた「民営化の王子」だ。これは、90年代に公社の民営化を行なった民主社会党のカルドーゾ政権を批判する著作だ。このテーマのものでは2012年にも「私物化する民主社会党」という著作がベストセラーになっている。
 現在の「ヴェージャ」誌のランキング1位は宗教書で、福音派教会「ウニベルサル」のエジル・マセド司教の書いた「失うものは何もない・第2部」だった。また8位にはモルモン教会との結びつきの強い企業家カルロス・ヴィザルド氏による「夢に限界はない」が入っている。
 このように、ブラジルの書籍ランキングはきわめてイデオロギー色が濃いが、フォーリャ紙は「この傾向がブラジルの政党に決して反映されていないのも特色だ」と述べている。
 左翼側、右翼側のベストセラーを出した作家たちはのきなみ、自身と特定政党との結びつきを否定している。アメリカでは、共和党が右翼、民主党が左翼を代表しているイメージが強いが、ブラジルの場合、「労働者党対民主社会党」の二大政党の対決イメージこそあるものの、それがアメリカでのような主義主張の対立を生んでいるわけではない。
 また、アメリカの場合、共和党がキリスト教原理主義と強く結びついていると一般的に言われるが、民主社会党自体がそうした特定宗教との結びつきを取り沙汰されたという話はない。ブラジルの場合、キリスト教社会党などの中規模政党の中に福音右派の政党はあるものの、アメリカの共和党のように政権を狙えるほどの規模には至っていない。宗教との結びつきの強い議員は各政党に存在している。
 なお、14日付フォーリャ紙掲載の14年大統領選の世論調査では、現職のジウマ大統領への支持率の高さが明らかになっていた。同大統領所属の労働者党は左翼政党のイメージが一般的に強いが、それにもかかわらず、同調査では右翼や中道右派の人の中でも最も高い支持を受けていた。