ニッケイ新聞 2013年10月15日
JICAサンパウロ出張所が10月に民間連携班を新設し、ブラジル進出をねらう日本の中小企業の支援に本腰を入れ始めた。
同班を主導するのは、この度サンパウロに勤務地を移したブラジリア事務所の遠藤浩昭次長(48、埼玉)。もともと聖出張所の次長でもあったため、出張ベースでサンパウロ市に通って企業とコミュニケーションをとっていたが、企業とのやり取りを充実させるため拠点を変えた。
同次長によれば、JICAでは、数年前から民間企業の支援を進める動きが広がっており、すでに実施された関連事業件数は数百件に上るという。しかし、企業の目はアジアに向きがちで、ブラジルではわずか数件のみという状況だった。
「一社でも多くにブラジルを知ってもらい、実際に見てもらいたい」と、昨年から2度にわたり調査団を組織。防災や介護ビジネス関係など、幅広い分野から10数社の中小企業が参加し、当地を視察した。中には真剣に進出を検討し始めた企業もあるという。
「海外展開したい企業は増えている。しかし大企業でもなければ、独自の力でブラジル進出は難しい。そこをJICAが支援できれば」と同次長。「ODA(政府開発援助)を行なっているJICAの視点で、ブラジル社会や経済に寄与すると考えられる企業や商品」を対象に、支援を強化していく方針だ。
「大きな日系社会もあり、日本語を話す人材もいる。ビジネスチャンスがもっと増えていいはず」と期待をこめて語った。