ニッケイ新聞 2013年10月15日
フォーリャ紙とCBNラジオ局が5日、クルトゥーラ書店の劇場で「サンパウロ市の日本食」をテーマに討論会(Batepapo)を開き、約280人が来場した。イベント終了後も、参加者らは「家で刺身をするのに適当な魚は」「日本食に合う酒は」と有名シェフらに様々な質問を寄せた。
コメンテーターには、道クルツラルの高橋ジョー代表、日本食シェフの水本ケン(新寿司)、金城アドリアーノ(モモタロウ)、村上強史(木下)ら4氏が招かれた。ルイーザ・フェカロッタさん(フォーリャ・食のページ編集長)とファビオラ・シドラルさん(CBNサンパウロ・アナウンサー)の司会のもと、4人が日本食の現地化、両国における食材の鮮度や種類の違いなどについて、それぞれの意見を述べた。
小さい頃からマンジョッカの味噌汁など〃ニッポ・ブラジレイラ食〃を食べて育ったシェフらは、食の現地化を「自然ななり行き」と好意的に評価。現地の文化との一定の融合は避けられないとみる一方で、訪日体験から食事の質の違いを実感したというルイーザさんからは、「食べ放題(Rodizio)は、繊細な日本食の本質に反するのでは」など文化面に着目した質問もあった。
近年は日本への旅行者増加に伴い、客側が特定の魚や米を要求するなど、より質の高い食事を要求するケースも増えているという。日本酒などは、こうした求めに応じて市場を拡大している一例だ。
参加者の一人は、「日本に行った時、すし屋の職人の手厚いもてなしやカウンター越しの会話に最も感動した」と力説。食材の鮮度や輸入業者不足など課題はあるが、ブラジル社会が日本食を取り巻く「日本文化」に目を向け始めている様子が伺われた。
イベントはFMラジオで生放送され、津田ドゥドゥさん率いる音楽グループが演奏を担当した。
マルレーニ・メンドンサさんは「日本文化に関心があって、いつもイベントがあると注目している。日本食の現地化の話が面白かった」と感想を語った。