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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2013年10月15日

 「戦いはまだ終わらないよ」。『闇の一日』を監督した奥原マリオさんは、真相究明委員会が戦中戦後の日本移民迫害に対して謝罪したことに関する取材中、一度も笑顔を見せなかった。「確かに大きな一歩だけど、これからどうしていくかを考えていかないと」。普段の笑顔を封印して、そう表情を引き締めた。
 奥原さんによると、委員会が謝罪したからと言って、連邦政府が謝罪したことにはなっていないという。賠償命令や誰かの訴追は、「家族が訴えを起こして裁判にしない限りは無い」。特定の個人へではなく、ブラジルの日本人、日系人全体に向けた謝罪だった。
 コロニアにとっては当然意義深いことだが、彼の言うようにこれで終わりではなく、むしろ始まりなのかもしれない。傷つけられた名誉、辱められた歴史は謝罪の言葉だけでは帳消しにならないはずだ。(詩)