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鹿児島100周年=原口氏「西郷のような生き方を」=県人の益々の活躍願い

ニッケイ新聞 2013年10月16日

 ブラジル鹿児島県人会(園田昭憲会長)は創立百周年記念事業の一環として11日、文協小講堂で『西郷隆盛講演会』を行なった。約150人が訪れ、興味深そうに耳を傾けた。
 約3年前にも「坂本龍馬」をテーマに当地で講演した鹿児島大学の原口泉名誉教授(66、鹿児島)が講師を務めた。NHK大河ドラマ「篤姫」はじめ、テレビ番組の時代考証や解説のほか、「龍馬は和歌で日本を変えた」「維新の系譜」など著書もある。
 まず、最大の功績として「近代国家の枠組みを作ったこと」を挙げ、明治維新によりたった一夜にして多くの武士が失業し、廃藩置県が行われたことが、いかに歴史的で世界に類を見ない改革であったかを強調した。
 市民平等、万国対峙、国民議会の必要性を説いた西郷は、「人の上に立つほどの学もなく、右ひじの怪我によって剣においても秀でず、フィラリアによる象皮病で馬に乗ることもできなかった」。そんな彼が持っていたものは人間力だったという。
 「幼少期から損得ではなく善悪をもって行動しろと徹底的に教え込まれた。海で溺れた人間を見た時、助けねばと善悪を持って判断するが、直後には損得が脳裏に浮かび躊躇する。西郷の場合は思考が損得に達する前に助けに飛び出す。そういった考え方に魅せられ、グループの先頭に立った」と潔い武士の姿、侍の心得により人望を得たと語った。
 また西郷自身、「敬天愛人」(天を敬い人を愛すという意)という言葉を好んで使い、「天命への自覚を持って江戸・明治期の変革にまい進した。これはブラジル鹿児島県人移民が創立百周年を迎えたこととも通じ、長年の成果が実ってのこと。今日の日系社会があるのは皆さんの努力があってこそ」と県人会関係者を称え、「次世代の若者のためにも、引き続き努力と貢献をもって日系社会を支えて下さい」と力強く締めくくった。