ニッケイ新聞 2013年10月17日
「教師の日」(Dia do Professor)の15日、全国各地でデモが起きた。聖、リオ両市のデモは最初は平穏な雰囲気で始まったが、途中から黒服と覆面で身を固めた集団「ブラック・ブロックス」約200人が介入して警官隊と衝突、現場は一時〃戦場〃の様相を呈した。2都市での逮捕者は午後11時までに206人に上った。15、16日付伯字メディアが報じた。
商店や銀行襲撃、米国総領事館に投石、火炎瓶等で浮浪者を攻撃、歴史的建造物に囲まれた地区の真ん中で燃えるバリケード、バス3台で警察署へ送られる逮捕者——。リオ州教育者組合が招集、国民への質の高い公教育を訴えたデモは、カンデラリア教会前からリオ・ブランコ大通りへの行進後、様相が一変した。
教員デモは午後8時頃に解散したが、その後、ブラック・ブロックスが現れ、中心部と周辺地区が煙で充満。シネランジアでは深夜まで緊迫した状態が続き、国立美術館の前ではバリケードが炎上。市立劇場の正面階段に固まった黒づくめの集団は軍警に火炎瓶等を投げつけ、警察はゴム弾で応戦した。リオでは150人の身柄が拘束され、内5人が未成年だった。
サンパウロ市では、サンパウロ大学学生や教職員など約300人がデモ行進をした。参加したサンパウロ州学生連合幹部の女性によれば、デモ隊は午後6時頃ラルゴ・ダ・バタタを出て州政庁に向かったが、午後7時半頃、マルジナル・ド・ピニェイロスでブラック・ブロックスが乱入して警官との衝突が起きたため、デモを解散したという。
自動車販売店、バス、銀行などへの攻撃、警官隊との衝突など、混乱の中、56人の身柄が拘束され、警官8人が負傷した。午後11時半頃に釈放された広告業の30歳男性は、「助けを求めていたら捕まった。理由もないのに警察に連れて行かれた」と訴えた。
なお同日午後は、ホームレス労働者運動(MTST)の運動家400人がサンパウロ市議会に侵入を図った後、市役所前で抗議行動を行った。MTST側は低所得者用の大衆住宅建設などを含む市政計画の審議を要求しようとしたが、市議会側は鉄格子や木の柵で侵入を阻止。運動家は柵を突き破ろうとし、軍警と市警備隊に取り押さえられた。
その後、MTST幹部12人がジョゼ・アメリコ市議会議長(PT)と会合を持ち、早急に市政計画を審議するよう求めた。MTSTのギリェルミ・ボウロス氏は「市政計画は3週間前に提出されたが公聴会の日さえ決まってない。議長に立場を明らかにするよう求めに来た」と主張した。
市役所では、カンポ・リンポ区イペー公園などのような市有地から、司法命令なしでホームレスを立ち退かせないよう求めた。2週間前、同公園では350家族が市警備隊によって立ち退かされたが、元の場所に数日後に戻っている。
「我々は住居をめぐる合法的な抗議をするために土地を占拠している。市は司法命令もなく、容赦なく家族を立ち退かせている」とMTST運動家は訴える。
ジョゼ・ピヴァット機関調整局副局長は、要望を関係当局に伝えることを約束。運動家らは17日午前9時から、再び市役所前で抗議行動を行うと宣言している。