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50過ぎての再就職は?=技術や経験を売り込もう

ニッケイ新聞 2013年10月19日

 2週間前にウェットゥン・ワイルド社の会計監査官となったヴァルテル・フランシスコ・ジアコメリさん(52)は、再就職出来た秘訣は自分自身が積み上げてきた経験などのおかげだと信じて疑わない。
 大学で会計学を専攻したヴァルテルさんは、22年間勤めた自動車部品の会社を解雇された時、51歳だった。「この年で新しい仕事が見つかるだろうか」と案じつつ、300以上の会社に履歴書を送ったが、面接に呼ばれたのは3社のみ。
 「年齢も隠さず書いたせいで声がかからなかったのかも知れない」というヴァルテルさんだが、50歳を過ぎてからの再就職の鍵は、それまでに積み上げた経験や知識、技術だと確信している。
 ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)サンパウロ会社経営学校(EAESP)のマリア・ジョゼ・トネリ教頭は、「50歳を超えた人を雇うと会社には負担増となる事が多いが、経験や知識といったものの持つ価値は評価すべきだ」と言う。
 マリア教頭は、修士課程の学生が「組織の中での高齢化:人事課の知覚から年齢の実際的管理まで」というテーマで論文を書くのを指導した事がある。この学生は様々な地域や部門の会社108社に赴き、生のデータを集めてきた。同論文によると、年齢がいった従業員は、経験豊富、責任感が強い、会社の事をよく知っている、全体が俯瞰できる、感情が安定しているなどの長所を持っている。短所の方は、新しい技術の事をあまり知らない、若い従業員より経費がかかる、活気がないなどだ。
 面白い事に、50歳を過ぎた従業員を抱える会社では、彼らが持っている経験や知識の価値を認めているものの、それらの経験や知識を若い従業員に伝える事への関心はなく、そのために投資する意図もないという。
 病院関係の職場で30年近く働いていたエベ・アンヴェルサ・カストロさん(54)は、2011年に仕事を辞めたが、子供も居るし毎月の必要経費もある、仕事もせずに過ごすのは初めての経験等の理由で、再び仕事先を探し始めた。
 最初は病院とは無関係の仕事をと考えたが、これまで積み上げてきた経験を顧みた時、かつての職場で知り合った人達と連絡を取ってみる事を思い立ったという。
 1年後にエベさんを尋ねてきたのは、サンタセリナ病院というグループの営業担当理事の適任者を探しているというヘッドハンター。目の前には常に新しく学ぶべき事、挑戦すべき事があるというエベさんは、新しい職場で喜んで勤務。50を過ぎたら減速し始めると考えるのは間違いだというエベさんは、「私にはまだまだ余生があるし、人と分かち合えるものも沢山ある。異なった世代から学ぶ事や順応しなければならない事も山ほどあるから、まだまだ働かなくちゃね」と屈託がない。(13日付エスタード紙より)