ニッケイ新聞 2013年10月22日
2008年から12年までの5年の間に、連邦政府が運営するSUS(統一医療保険システム)の公的資金約5億200万レが複数の市役所、州政府のほか、民間診療所、慈善団体、薬局などで不正に利用、もしくは横領されていたと20日付フォーリャ紙が報じている。
不正利用が指摘されたのは1339件で、Denasus(SUSの監査部門)の調査チーム、フォーリャ紙が一件一件精査したところによれば、最も顕著に見られたケースの一つは、各機関の保健部門に支給されたSUSの公金が、他の関係の無いセクションに回されていた場合だ。
この〃消えた〃5億200万レは、正しく使われていれば227カ所の救急診療所、1228件の保健所が建設できたはずの金額だ。この不正をごまかすべく病院の記録の偽造、架空の職員登録の他、支給されたはずの医療機器が設置されていなかったり、不適切な請求があったりなど偽装工作は多岐にわたる。
マラニョン州ロザーリオ市ではSUSの支給額690万レが不正に利用されたと、2年前に連邦監査局が指摘した。この市にある唯一の公共病院では16日、絶食状態で病院を訪れた約20人の妊婦が、朝から込み合った廊下で待たされ、5時間経ってもいつ診察が受けられるかわからない状態だった。
不潔な床、誰もいない病室、検査室、閉鎖された手術室——。「ここでは、重篤な患者は(70キロ離れた)サンルイスまで行かなきゃならないの」と看護師の女性はため息をつく。
同州ミランダ・ド・ノルテ市の市立病院では2011年の一年で、人口を上回る2万7900人の緑内障患者が診察されたことになっている。この病院の眼科医は月に2回しか診察しないにも関わらずだ。
ピアウイー州のアグア・ブランカの病院では1日で201件ものSUSの支払い請求があり、その中には既に亡くなった人への治療代としての請求もあった。同州ノッサ・セニョーラ・ドス・レメジオス市では家族健康計画(PSF)に登録された20人のうち、15人は一度も勤務した記録がない。南大河州イビアサーはSUSで支給された医薬品が民間保険に加入する患者に提供されていた。
他にもパラー州アカラー市では、07年から10年当時の市長が自宅隣に専用の診療所のような施設を造り、選挙事務所のように機能させ、410万レが計上された。
不正利用が指摘された1339件のうち、113件で各件100万レ以上、合計1億9400万レの返還が既になされている。保健省によれば、ここ数カ月で新たな補足レポートが提出されており、それによればさらに不正が発覚する可能性もあるという。