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国際社会保障協会が高評価=Bファミリアに優秀功労賞=3600万人が極貧脱出=不正受給など問題続くも

ニッケイ新聞 2013年10月24日

 ルーラ政権下の2003年10月に発表され、04年から導入された社会扶助政策のボルサ・ファミリアが15日、貧困撲滅、社会的弱者の権利向上に著しい貢献をしたとして国際社会保障協会(英語の略称ISSA)の優秀功労賞(Award for Outstanding Achievement)を受賞した。政策発表から10年を迎えた20日に同日配信バンデ・ニュースTVサイトが報じた。10年で受給者は13万8千家族、5千万人に上り、3600万人を極貧状態から救ったこのプログラムだが、一方で現職政治家2千人が不正受給していたことも発覚するなど、課題は残っている。

 ISSAは1927年に設立され、ジュネーブの国際労働事務局内に本部がある。社会保障関係の中央機関を会員とする国際団体で、157カ国330の会員を擁する。加盟機関に専門的な情報や知識を提供し、優れた社会保障運営を支援している。
 ボルサ・ファミリアは一人当たりの平均月収が140レ以下の低所得家庭に生活補助金を支給するもの。ISSAによれば、国内総生産の0・5%にあたる比較的少ないコストで所得分配を実現したものとしては世界最大のプログラムで、「貧困のサイクルを断ち切り、所得分配を子供の就学と結びつけ、ブラジルの社会の不平等を軽減するのに貢献した」と賞賛した。今年の予算として約240億万レが計上されている。
 受給する家庭の子供は1600万人おり、少なくとも85%以上の就学日数を出席することが義務付けられている。同会のエロール・フランク会長は「他国の政府がブラジルの経験を評価し、類似した政策を実行する刺激になれば」とコメント。ジウマ大統領は、9月に放送された同局のラジオ番組「カフェ・コン・プレジデンタ」の中で「10年を通じ、導入には多くの障害があったがそれを克服し、国が育んだ重要な社会技術へと変化した」と位置付けている。
 応用経済研究院(Ipea)は、「貧困家庭の所得を保証するだけでなく、この層の消費活動によって国の経済が活性化されている」との見解を示す。同院の研究によれば、プログラムでの1レアルの投資が、国内総生産の1・78レ増を誘引しているという。
 ただし、現政権の強い支持基盤が北東伯の貧困者にあり、その層が益する政策でもあることから、野党側からは〃選挙対策〃とも揶揄される。加えて、今年5月には給付金の支給が一時停止されるという嘘の情報が出回り、受給者が全国の銀行支店に押しかけるという騒ぎも起きた。政府は「犯罪」として捜査を進めたが、結局情報元は見つからなかった。
 また、同政策は監査が十分に行き届かず、不正が頻繁に指摘されている。今月12日付エスタード、フォーリャ両紙によれば、現職の市長、副市長、市議など政治家2168人に支給されていた事実も発覚した。当選した政治家の受給は禁じられている。不正受給していたのは、昨年当選した全国5545人の市長、5万6810人の市議の3・34%に相当する。