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サンパウロ市IPTU=15年以降に再値上げか=14年度には上限設定も=対象不動産は45%以上とも

ニッケイ新聞 2013年10月24日

 【既報関連】2014年以降の値上げが決まっているサンパウロ市の都市不動産所有税(IPTU)。来年度こそ値上げ幅の上限がもうけられているものの、45%の家屋が15年度以降のさらなる値上げ対象になりそうなことがわかった。23日付フォーリャ紙が報じた。
 2日付本紙でも報じたように、サンパウロ市は2009年以来となるIPTUの大幅な値上げを14年に行なうと発表した。それは2009年から13年にサンパウロ市の不動産価格が市内26地区で100%以上上昇するなど高騰が目立っていたため、「従来の算出方法では意味をなさない」と、フェルナンド・ハダジサンパウロ市市長が判断したためだ。
 そのため、中央部の住宅地や商用地などで大幅な値上げが予想されたが、その後、市議会で14年度分に関して、一般住宅で30%、商用地で45%の上限が設けられた。伯字紙では、「IPTUの急な高騰で高齢者の生活が圧迫される」との市民の危機感情を伝える報道も出ていた。
 だがハダジ市長は、14年度の上限以上にIPTUが値上げされるはずだった不動産に対し、15年度以降、再値上げを行なう意向があり、その議案をサンパウロ市議会で提案する予定だという。
 市長の議案によると、サンパウロ市260万軒の住宅地の38%、51万2千軒の商用地の78%が15年度以降の再値上げ対象になるという。それを実数計算すると139万軒で、サンパウロ市の不動産の45%にあたる。
 ハダジ市長はこのIPTUの再値上げを、6月のマニフェスタソンによりバス運賃値上げを撤回し、従来の料金(3レアル)に戻した状態を保つためだと語っている。
 だが、ジョゼ・ポリセ・ネット市会議員(社会民主党・PSD)は「IPTUの値上げは、サンパウロ市にもっと住人を増やしたいと考えている市長の思惑と矛盾する」と語っている。このようにサンパウロ市議会の中でもハダジ市長の方針に賛同しない勢力もある。サンパウロ市議会では23日、14年度のIPTUの値上げ上限を住宅地で20%、商用地で35%に止める提案に対しての投票が行なわれた。この上限提案が可決されたとしても、市長の意向通りにことが進むならば、15年以降にIPTUの再値上げ対象となる不動産が増えるだけになりそうだ。
 サンパウロ商業協会のロジェリオ・アマート会長は「IPTUの値上げが起こると、商品価格のインフレにもつながる」と警鐘を鳴らしている。