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静岡文芸大シンポ=第2世代の存在感強まる=「多文化共生に質的転換」

ニッケイ新聞 2013年10月24日

 【既報関連】静岡文化芸術大学(浜松市)の学生が、地域の外国人生徒への「学習支援」や「交流支援」をしたプロジェクトの成果を総括するシンポジウムが12日午前、同大学で開催され、約40人が参加した。
 『文化をつなぐ橋づくり—学生による実践の試み』というこのシンポでは、学生による報告に対し、指導教員や学外関係者が評価コメントをし、今後の地域貢献活動のあり方を模索した。
 「多文化共生社会の実現に向けた交流支援と学習支援のあり方をめぐる実践的研究」の一環で、研究代表の池上重弘教授が「多文化共生に力を入れている」との大学の方針を説明し日系学生が1年に4人、二年に4人、三年に2人の計10人もおり、「この第二世代(在日二世)の存在が多文化共生に質的転換をもたらしている。今ではポ語を使った学生の手によって実行できる」と強調した。
 その後、四つのプロジェクトについてそれぞれ担当の学生らが報告をした。ブラジル公演をした(1)「まりまり」プロジェクトや「ポンチ・プロジェクト」の交流支援に続いて、(2)市内小学校で異文化理解を促進した多文化ワークショック、(3)磐田市の多文化交流センターでの外国人中学生への学習支援、(4)日本語教員養成課程の学生が中心になって行った外国人学校生徒への学習支援などの報告の次に、「ぜひ続けてほしい」とのコメントが学外関係者から出された。
 幼稚園から高校部まで約300人が学ぶブラジル人学校EASの日本語教育担当、鈴木規之さんは「浜松のコミュニティではまったく日本語なしでも生活できるインフラがある。だからこそ、日本人大学生と触れ合う機会は重要」と社会統合のための意義をのべた。
 浜松市立高校には国際クラスが北脇保之前市長時代に設置され、そこから同大学に進学者が生まれている。自身の教育施策の成果を確認するように当日は北脇前市長が一市民として参加し、「日系人の定住傾向の高まりを受けて、大学進学者が増えているのは喜ばしい。今までは小中から高校進学者へと学習支援が広がってきたが、さらに大学進学者へ目を向ける時期になってきた」とコメントした。