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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2013年10月24日

 先日、取材のため画家の故・間部学さん宅にお邪魔した。未亡人よしのさんから、学さんは出聖して本格的に絵に専念し始めて間もなく実力が認められ、その作品が外国の展覧会に出品する〃ブラジル代表〃に選ばれたと聞いた。
 日本国籍の学さんは嫉妬もされたが、彼の作品を推す声の方が大きかったとか。外国籍でありながら〃代表〃に選ばれるという体験は決定的な影響をもたらし、その後「ブラジルのために働こう」と帰化したという。
 当地には属性や肩書きより、「良いものは良い」とストレートに認める素直さと自由さがある。日本から当地に来るアーティストがいるのは、ここに彼らを受け入れる豊かな土壌があるからだろう。保守的な日本美術界では大成しなかったかもしれない当地の日系芸術家——やはりブラジルの財産なのだ。(阿)