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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年10月24日

 県連主催の『ふるさと巡り』に随行した。2008年の第30回で、みなさんの元気ぶりにあてられ、長らく遠慮していた。節目の40回、それもドミニカというので2回目の参加をさせてもらったのだが、やはり参加者らの食欲、体力、好奇心にシャッポを脱いだことは言うまでもない▼ドミニカ移住といえば、帰国者を含めた移民らが日本政府を相手取って裁判を起こしたことでも有名だ。300タレア(18町歩)の無償譲渡との条件を提示され、1300人余が海を渡ったが、〃カリブ海の楽園〃とは名ばかりだった。2006年には小泉純一郎首相が謝罪の言葉を談話で発表し、移民、遺族に対し、一時金が支払われているが、現地ではまだ怒りが渦巻いていた▼石ばかりのネイバ、塩が吹き出るドベルヘ、最初の移住地ダハボンなどは、距離の問題もあり訪ねることができなかったのは残念だった。どれもがハイチ国境近くにあり、紛争の防塁とされたとされる。今回訪問したハラバコア、コンスタンサの2移住地と首都サントドミンゴで、現地コロニアの歓待を受けた▼1956年が初移住で、62年には集団帰国。つまり家長だった人々はほぼ鬼籍に入っている。参加者のなかには、ドミニカからブラジルに転住された方もおり、まさに〃ふるさとめぐり〃となったわけだが、子供だっただけに当時の詳しい経緯は、あまり記憶にないようだ。だが、幼少期を共に過ごした仲間たちとの半世紀ぶりの再会を果たし、涙の絶えない1週間となった。同時に、開拓経験もある参加者にとっては色々考えさせられることも多かったようだ。詳細は後日、連載記事でお伝えします。(剛)