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〝第二の自動車ブーム〟到来=ABCからサンパウロ州内陸部へ=新工場が三角地帯に続々=年間580万台体制か

ニッケイ新聞 2013年10月25日

 ブラジルの自動車産業〃発祥の地〃ともいえるサンパウロ市近郊ABC地区は、サントス港から近く、1959年以降、当地に進出する外国メーカーの投資が集中した地域だ。2012年に連邦政府がINOVAR—AUTO(自動車の技術革新と生産強化奨励プログラム)を策定し、国内産業強化の方針を打ち出してから外国メーカーがこぞって工場を建設しており、その建設地はサンパウロ州中東部の地域が選ばれる傾向が顕著だ。自動車業界に〃第二の波〃が来ている今、ブラジルの自動車産業の中心地はABC地区からこの〃三角地帯〃に推移している。

 21日付エスタード紙がトリアングロ・カイピーラ(Triangulo Caipira、田舎の三角地帯)と呼ぶこの地域には、まずFHC政権下の90年代に自動車ブームが起きた。フォルクスワーゲンがサンカルロス(96年)に、ホンダがスマレ市(97年)に、トヨタがインダイアツーバ(98年)に建設した工場があり、それぞれ年間90万9千台、13万5千台、6万6千台を生産する。
 それに加え、今年はヒュンダイがピラシカーバ市に、昨年はトヨタがソロカーバ市に新工場を落成した。生産台数はそれぞれ年間15万台、7万台だ。
 また、ホンダとメルセデス・ベンツは2016年までに、それぞれイチラピナ市、イラセマポリス市に新工場を建設することを発表。トヨタはポルト・フェリス市に10億レを投資し、2015年に新工場を建設するという。
 一方、60年代に自動車産業基地となったABC地区には、今も自動車関連の工場が六つある。サンカエターノ・ド・スル市にはゼネラル・モータースの自動車工場、サンベルナルド・ド・カンポ市にはフォード、メルセデス・ベンツ、スカニア、フォルクスワーゲンの自動車等の生産工場、トヨタの部品工場と5社の生産拠点がひしめく。
 Anfavea(全国自動車工業協会)によれば、2011年はサンパウロ州で145万台が生産され、全国の42%を占めている。うち88万台がABC地区で生産されているが、今後ソロカーバのトヨタ、ピラシカーバのヒュンダイ、イチラピナのホンダ、イラセマポリスのメルセデスの4工場が稼働を始めると、2016年以降、年間35万6千台以上が生産されることになり、最大の自動車生産地域となる。
 「この地域は主要道路から近く、サントス港や他州への商品の輸送が容易になる。その上サプライヤーや業界で働く人材を育成する大学、消費者にも近い」とAnfaveaのルイス・モアン会長は同地域の利点を説明する。
 自動車業界研究センターのルイス・カルロス・メロ会長も、「ABC地区は飽和状態。市からの税の優遇があるのも大きい」と指摘する。
 政府は年間580万台の生産を見込んでおり、Anfaveaはこの第二の〃自動車ブーム〃は同政策の対象期間の最終年である2017年まで続くとみている。