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サンパウロ市IPTU=市議会が市長案に反発=4年で72%上昇の計算=一般市民からの反感恐れる

ニッケイ新聞 2013年10月25日

 【既報関連】2017年までにサンパウロ市の都市不動産所有税(IPTU)の納税総額を72%も大幅に増やそうと考えているフェルナンド・ハダジ市長の提案が、サンパウロ市議会で23日、投票延期となった。14年度の同税値上げ上限を下げる提案だが、翌年以降に続々と値上げを繰り返すことが前提とされるその提案に対して、議会の与党陣営内で反乱が起こったためだ。市議会は現在代替案を検討中だ。24日付伯字紙が報じている。
 ハダジ市長の提案は14年度のサンパウロ市IPTUの値上げ上限を、一般住宅で規定の30%から20%へ、商用地で45%から35%に下げるというもので、一見受け入れやすくみえる。ところが23日付本紙でも報じたように、ハダジ市長が実際に考えていることは、IPTUの計算基準の変更が上限以内に収まらない約139万軒の不動産を対象に、15年以降、再値上げを繰り返す計画だ。
 市役所の見通しでは、13年に55億レアルだと予想される同税の納税総額が、17年まで毎年値上げを繰り返すことにより、14年には24%増(68億レ)、15年には10%増(75億レ)、16年には15%増(86億レ)、17年には10%(95億レ)と通算すると75%も上げられる。
 23日の市議会では、アウレーリオ・ミゲル市議(共和党・PR)を委員長とするサンパウロ市財政委員会が、5対4で14年度の値上げ幅の引下げ案を否決した。加えて、この日の市議会の出席議員が15人しかいなかったため、市議会の投票の過半数28人を下回っており、票決すること自体が不可能だった。
 こうした事態が起こったのは、社会民主党(PSD)、ブラジル社会党(PSB)、緑の党(PV)といったサンパウロ市議会内の連立与党が反対の立場を示したからだ。これらの党は、低所得者層からの支持が落ちることを強く恐れているという。
 これらの反対意見に対し、ハダジ市長側では高齢者を対象にした緩和策も用意していた。現在、所得が最低賃金の3倍以内の高齢者に対してはIPTUの支払いが免除されている。その緩和策ではさらに、最低賃金3倍以上4倍以下の所得層に50%、4倍以上5倍以下の人たちに30%の割引を施すという。今回のIPTUの基準変更で最も値上げが予想されている中央部は高齢者が多く居住していることでも知られている。
 ジョゼ・アメリコサンパウロ市議長(PT)は特別委員会を招集し、24日にも投票が行えるように試みたが、反対勢力が根強いことから、難航するものと思われる。