ニッケイ新聞 2013年10月30日
2014年の大統領選を共に戦うと見られているエドゥアルド・カンポス氏のブラジル社会党(PSB)とマリーナ・シウヴァ氏の持続ネットワーク(RS)が、最初の共同集会を28日にサンパウロ市で行った。左派のジウマPT政権に対し、右よりのブラジル民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス党首。PSBに知名度の高いマリーナ氏が加わったことで第三極としての注目されるが、その政策や立ち位置がどこかよく分からない。そこでPSBとRSが共闘方針の話し合いを行ったが、本来主張の違う二党の同盟の難しさを垣間見せる結果となった。9日付伯字紙が報じている。
RSの党発足の承認が得られなかったマリーナ氏が、大統領選で争うと見られていたカンポス氏のPSBへの移籍を発表した10月5日から約3週間が経過し、両氏が来年に向けて具体的に打ち合わせを始め、両党の政治家約150人がサンパウロ市に集まった。
マリーナ氏は環境重視で知られることから、農業政策が一つの争点といえそうだ。カンポス氏も「農業は国内総生産(PIB)の25%を担っている。持続可能な農法が大事だ」と語り、自身が農業問題に取り組んでいる姿勢をアピールしたが、「生産性をあげるためには科学技術の発展が重要」とも唱えている。その主張が、環境問題の重要性を強く訴えるあまり農業生産性を落としかねないマリーナ氏の主張と噛みあうかどうかが注目されている。
電源開発問題に関する考え方がルーラ(当時)大統領と合わず、マリーナ氏は環境大臣を辞職した経歴がある。経済拡大や産業発展に関する方向性に対し、企業家や農業関係者は彼女の本心を知りたがっている。
PSBのベゼーラ・コエーリョ元国家統合大臣相からは、代替エネルギーの必要性を唱えるマリーナ氏の意見をまるで無視するかのように、「工業の生産性の効率化」を唱える一幕も見られた。カンポス氏は間に入るように、「環境を守る範囲内での技術の進歩を」とこの日の話をまとめた。
このように、共闘方針に関しての意見は出席者の間で割れた。その活動方針をまとめた要綱の出だしでも「カルドーゾ政権(1995〜2002年)がブラジルの政権を安定させ、ルーラ政権(2003〜10年)が多くの人を貧困から救った」とし、過去約20年でのブラジルの社会的進歩を認めながらも、「それが社会の着地点でない」として、さらなる進歩を目指そうと記していた。
だが、RSのジョアン・パウロ・カポビアンコ氏は「要綱の文書はよく出来てはいるが、方向性が具体的でない」と指摘した。同文書では「政府における政党間の同盟」を「古い政治」として批難していることに関して、14政党と同盟を組んでいるカンポス氏のやり方は、「古い政治」にあたらないのかとの質問も出た。その件に関してマリーナ氏は「古い政治」ではないとの弁護をし、カンポス氏をかばう姿勢を見せた。