ニッケイ新聞 2013年10月31日
写真=評議員会の様子
サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)は26日、同本部で「第6回定期評議員会」を開いた。36人(委任状9人)が出席し、神内プロジェクトを含む2014年度の「新規事業計画」および、3億446万7千レアルにのぼる「予算案」が承認された。この収入の約86%にあたる2億6221万4千レは日伯友好病院によるもの。来年はグアルーリョスSUS病院建設を始めるなど、経営に必須である公益団体認定を永続させるため、新規事業に大型投資をすることになる。
新規事業は、神内プロジェクトによるサントス厚生・カンポスさくら・あけぼの3ホームの改修工事、8月に開院したサンミゲル・アルカンジョ病院(SUS病院)敷地内への救急診療所新設、自閉症児療育学級「PIPA」の指導員新規雇用、やすらぎホーム移転、グアルーリョス市のSUS病院第一期工事などで、事業費の総額は2751万8千レ。本部、福祉部含む13施設で実施される。神内プロジェクトによる支援額112万3千レを除いて、すべて日伯友好病院の収入と同病院が切り崩した基金320万2千レがあてられる。
サンミゲル・アルカンジョ病院は、運営費の2分の1〜3分の1を連邦政府が負担する見込みだが、金額はまだ確定していない。年間予算が援協のわずか4分の1という同市からの補助金は月々20万程度。来年度予算案でも515万レが本部からの送金となるなど、現状のままだと援協の負担が大きく、同会長は「赤字が出るのは間違いないが、年間3〜400万程度に収まるようにしたい」との希望を述べた。今後、市への補助金増額を求めて州や連邦政府に働きかける方針という。
連邦政府による公益団体認定は、今年8月にサンミゲル・アルカンジョ市にSUS病院を開設したことで、過去3年間分の認定に関しては95%実現の見込み。だが、政府は近年、認定団体数を大幅に減らしており、次回認定に向けて早めの対策が求められている。同会長によれば、認定を失った場合、納税額が年間5千万レアルにも上り、経営が実質不可能になるという。
認定永続のために援協が力を入れているのは、二つのSUS病院運営にくわえて、自閉症児への生活療法で成果を上げているPIPAだ。7月からJICA、社会福祉法人「トポスの会」(東京都)と連携し、生徒の職業訓練にむけて体制を整えるプロジェクトが始まっており、成功すれば、自閉症児の薬物療法が一般的なブラジル社会の注目を浴びることは間違いない。現在、同プロジェクトに目を留めた州政府がより多くの自閉症児の受け入れを求めているため、州の支援を実現し、PIPAの事業を拡大していきたい方針だ。