ニッケイ新聞 2013年11月1日
ジルベルト・カサビサンパウロ市市長時代(2006〜12年)にサンパウロ市財政局で副局長をつとめていた人物を中心とした4人のサンパウロ市職員が10月30日午前、建設企業に賄賂を強要していた容疑で逮捕された。税金を減額する代わりに建築業者から賄賂を受け取る手口で、この職員らが受け取った賄賂は少なく見積もっても5億レアルと報道されている。同月31日付伯字紙が報じている。
この賄賂強要工作の首謀は、カサビ政権時代に財政副局長だったロニウソン・ベゼーラ・ロドリゲス容疑者。元・サンパウロ市徴収局局長のエドゥアルド・オルレ・バルセロス容疑者、元・サンパウロ市不動産登録局長のカルロス・アウグスト・ディ・レロ・レイテ・ド・アマラル容疑者、現在も財政局員をつとめているルイス・アレッシャンドレ・カルドーゾ・マガリャンエス容疑者もこの一味として逮捕された。
この4人は建設会社を相手に、建設許可証(Habita—Se)の取得に必要なサービス税(ISS)の支払い保証書の発行で、便宜を図る見返りに賄賂を求めていた。建設企業が工事を請け負う際に支払う必要があるISSを、この4人の容疑者は減額する便宜を図っていた。そのほとんどの場合は50%減だったというが、ある企業は1万2千レアルしか払わなかったにも関わらず、48万レアルの支払い保証書を受けていたとの容疑も浮かんでいる。
サンパウロ市と州検察局の見方では、この工作は2007年頃から行なわれ、現時点で確認できただけでも5億レアルもの賄賂が受け取っていた。
市職員としての通常の給与からはありえない資産急増が容疑者にあったことから、匿名の告発がサンパウロ州検察局にあり、今事件は明るみなった。容疑者の月給は1万8千〜2万5千レアルだったのに、4人の個人資産は合計で800万レアルもあったとされる。容疑者たちはここ数年で、高級外車やリオ州やミナス・ジェライス州に高級別邸を続々と購入していたとされる。
3月から捜査が本格的にはじまり、その直前の1月にバルセロス容疑者、2月にアマラル容疑者がそれぞれ降格となっていた。また、主犯のロドリゲス容疑者は今年2月からSPトランスの財政担当となっていたが6月に辞任していた。
この事件についてカサビ前市長は「知らなかった」と語り、容疑者についても「私が選んだ人材ではない」とした。だが、フェルナンド・ハダジ現市長は「サンパウロ市政はじまって以来の大スキャンダルだ」と嘆き、同市長所属の労働者党(PT)も、カサビ氏が党首を務める社会民主党(PSD)とのサンパウロ州での同盟関係解消を匂わせている。
サンパウロ市職員に関しては昨年も元サンパウロ市建設許可局長のウサイン・アレフ・サアビ氏が7年で106軒の不動産を所有していることが発覚し、贈賄などの疑いが持たれたことでも注目されていた。