ニッケイ新聞 2013年11月8日
レナン・カリェイロス上院議長(民主運動党・PMDB)下の上院で、審査を受けないで職務を得た「信任職員」が、正規の公務員試験を受けて採用された「正規職員」の数を、この11年で初めて上回ったことで、連邦検察局はレナン議長の職員契約に問題がないか捜査をはじめている。また、この10年間で上院の人件費は3倍に膨れ上がっている。7日付エスタード紙が報じている。
ルーラ政権以降に顕著な傾向として、各省の公務員ポスト、なかでも政治家の指名による「信任職員」の増加が問題視されてきた。今回の上院において正規と信任の職員数が逆転したことで、改めて脚光が当てられた。
2002年の時点では正規職員が3500人強だったのに対し、信任職員の数は500人にも満たなかった。
だが、2003年にジョゼ・サルネイ氏(PMDB)が上院議長に就任すると信任職員が4倍以上となり、レナン氏が最初に議長となった2005〜7年、信任職員がさらに1・5倍となり、3千人前後に増えていた。その間、正規職員の数は微減し、2010年頃には急激に落ち、12年にほぼ信任職員数と同数になっていた。
レナン氏は今年2月、約5年ぶりに同職に返り咲いていたが、就任当初は人件費削減のため、就任から180日間の間、採用を凍結していた。
だが、その期間が解かれた後、採用がはじまると、正規採用は3人しかいなかったのに対し、全体で542人の新規採用登録がなされていた。この採用数は定年退職者や免職者による欠員補充を大きく上回る数でもあった。その結果、信任職員は3241人で、正規職員の2991人を遂に上回った。
上院の職員総数はついに6232人と、2002年時点の1・5倍となった。年間の人件費は30億レアルに膨れ上がり、金額としては10年前の3倍となった。
これを受け、連邦検察局は10月14日から捜査を開始し、過去2年間に信任採用された職員の個人データや指名を行なった人物、採用された職員の職務、職員と政党の関係についても調べている。それは上院議長の職がこの10数年のあいだ、PMDBによる独占状態にあるためだ。
この連邦検察庁の動きに対し、上院は書面で声明を発表し、信任職員は「便宜的に必要な存在」で、技術的な補佐的な存在だとし、それらの人材に関しては「信頼のおける人物を厳選している」としている。指名に関しては「事務局長が行なっており、特定政党との結びつきなどはない」との言い分だ。
レナン議長が再就任するにあたり人件費の削減を各上議に求めた。それにより、上議による個人雇用が減り、議長も25%の補佐役をカットし、医療部門の廃止も行なっていた。にも関わらず職員の雇用数が増えるなど、この問題は矛盾する疑問点も抱えている。
上院だけでこの人数であり、下院や各省庁を含めれば、凄い勢いで信任職員が激増していることは間違いないようだ。