ニッケイ新聞 2013年11月9日
【既報関連】5億レアルもの収賄が行なわれたとして「サンパウロ市政上最大のスキャンダル」とも目されているISS(サービス税)疑惑に関し、主犯の元サンパウロ市財政局副局長のロニウソン・ベゼーラ・ロドリゲス容疑者が、盗聴された電話の中で、ジルベルト・カサビ前サンパウロ市市長が今回の事件に関して「全て知っていた」と語っていたことが明らかとなった。8日付伯字紙が報じている。
これを最初に報道したのは7日グローボTV「ジョルナル・ナショナル」で、9月18日に行われたロドリゲス容疑者の電話の盗聴内容を報道した。この日、ロドリゲス容疑者はサンパウロ市監督局(CGM)から、サンパウロ市職員としての収入と巨額の個人資産が吊りあわないことに関して事情聴取を受けていた。
警察の盗聴記録には、財政局長室長だったパウラ・サユリ・ナガマチ氏に対し、ロドリゲス容疑者は「ばかげている。局長や市長も呼ぶべきだったと君も思わないか?」、さらに(この件に関しては)「局長や市長も全て知ってることなのに」と畳みかけるように語っている様子が残っている。
ロドリゲス容疑者とナガマチ氏がカサビ氏に関して交わした電話は他にもある。その中で二人は今年の8月12日に行なわれたカサビ氏の誕生日会について触れており、同容疑者がパーティの席でカサビ氏から厚待遇されたと話していた。
さらにもう一人の容疑者であるルイス・アレッシャンドレ・マガリャンエス容疑者が、人物不詳の男性と交わした電話でもカサビ氏の話題が出てきたのが確認されている。その会話の中で同容疑者は「他の3人(他の3容疑者)と一緒に財政の仕事に戻れれば良いのだが」と語り、相手の男性がそれに「カサビ氏が来年(14年)にサンパウロ州知事になればいいのだが」と答え、同容疑者が「そうなれば、全てうまく行く」と答えている。
これらの証言に関しカサビ前市長は7日に声明を発表し、「全くのデタラメだ」と語り、「汚職事件に私を絡ませようとしているようだが、断固それを拒否する」と語った。また、誕生日会での件に関しては「パーティには500人が参加したが、その参加者と個人的につながり続けているわけではない」と語った。
また、ロドリゲス容疑者にカサビ前市長同様に名をあげられたマウロ・リカルド・コスタ前サンパウロ市財政局長は、「ロドリゲス容疑者が事件の焦点をずらそうとしてやったでっちあげだ」と答え、「もし私が関わっていたなら彼にだけ罪を負わせ、彼を解任させたりはしなかった」と語った。ロドリゲス容疑者は昨年12月、同事件での調査がはじまった時点で副局長を解任されている。
なおロドリゲス容疑者と会話を盗聴されたナガマチ氏は7日、フェルナンド・ハダジ現市長から「信用できない」として、職を懲戒された。ナガマチ氏は10月31日に連邦検察庁に、現サンパウロ市政でハダジ市長の右腕的存在であるアントニオ・ドナト氏が2008年の市会議員選挙の際にISS収賄グループから現金を受け取っていたとの証言を行なっていた。