ニッケイ新聞 2013年11月9日
写真=挨拶する田中理事長
公益財団法人・海外日系人協会(田中克之理事長)による「第54回海外日系人大会」が先月29日から3日間、東京都の憲政記念館などで開催された。24カ国・地域から179人が出席し、「多極化時代に生きる日系社会と日本—持続的成長に向けた連携」をテーマに議論をかわした。ブラジルからは園田昭憲(県連会長)、松尾治(文協副会長)、下本八郎(文協高等審議会会長)二宮正人(国外就労者情報援護センター理事長)、矢野敬崇(汎米日系人協会ブラジル支部長)さんらが参加、ブラジルの実情を発信すると共に、日本や他国の関係者らと交流を深めた。
居住国の実情を認識しあい、国際交流や世界の対日理解の促進を図るため、毎年開催されている。
JICA四ヶ谷ビルで開かれた代表者会議では、ベネッセコーポレーション社長の森本昌義氏らが「グローバル人材としての日系人の可能性」など様々なテーマでシンポジウムを実施。
午後は「海外日系社会と日本」「在日日系人」「日系ユース」の3分科会にわかれて討議が行なわれ、「日本祭りなど、海外の日系イベントへの地方自治体の積極的な参加を推進する」ことなど8項目が決まった。その中で、日本政府に対して「国籍喪失規定をなくし、重国籍を認め」、「一世の『里帰り事業』を継続」し、「在日日系第二世代の健全な社会進出への道筋をつける支援施策の実施」を求めることが決まった。
留学生や研修生らが参加した日系ユース分科会では、「日本文化をより深く体験し、将来の日本との交流の最前線に立ち、人的ネットワークの先端を担う」ことで意見が一致した。
大会初日は、今年の県連日本祭りに関する特別上映や、ドキュメンタリー映画『442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍』を手がけたすずきじゅんいち監督や園田県連会長による講演会も開かれた。
同日行なわれた山田啓二会長(全国知事会会長=京都府知事)主催による歓迎交流会には、秋篠宮同妃両殿下も御臨席された。
3日目は第10回海外文芸祭授賞式と、ブラジル人学校「インスチトゥト・エドゥカーレ」(茨城県つくば市)の生徒による「日系人こども発表会」が行われ、今年の決議事項が「大会宣言」として発表された。その後、衆参両議院議長主催による昼食会が開かれた。