ニッケイ新聞 2013年11月12日
質も高く、様々な食べ物が食べられる町として知られるサンパウロは、典型的なブラジル料理の一つとされるシュラスコを出す店より日本食を出す店の方が多いという意外な数字が発表された。
ブラジル・バール・レストラン協会によれば、フランチャイズの店が増えた事やシュラスコの専門店でも寿司を出すのが当たり前になってきた事などを反映し、サンパウロ市ではシュラスカリア500店に対し、寿司を出す店は600店。
ブラジル・フランチャイズ協会(ABF)によれば、日本料理や中華料理といった東洋系の料理を出す店は2012年に前年比9%増え、販売額も4億1150万レアルに上っている。一皿当りの平均価格は、ピザの22・15レアルに対し、東洋料理は37・37レアルで、食品関連のフランチャイズとしては最高値の部門だという。
1日に40万皿の寿司を出すという手巻き寿司店、マキス・プラセの創業は2006年。第一号店はモエマで産声を上げたが、2008年からはフランチャイズ方式に転向。現在はサンパウロ市内だけで60店舗を有し、ブラジル一の日本食レストランに成長した。
現在は米国にも店を開けたマキスだが、フランチャイズの店舗を開けるには、6万レアルで権利を買い、25〜35万レアルで土地や施設を確保。18カ月から36カ月で元が取れるという。ショッピングセンターのキオスクや普通の市街地に開店する例が多いが、最近はガソリンスタンドに店を出すケースも増えてきている。
マキスのヴィラ・フォルモーザ店店主のアントニオ・ブラス・ラマルカ・ジュニオル氏は、他の2人と共同でヴィラ・レオポルジーナに初のフランチャイズ店を開け、現在は11店舗を運営。同氏だけの店も二つ持っているという。
1992年開業のゲンダイも、5年間は自店舗のみの経営だったが、その後はフランチャイズ方式に変更。現在は全国に65店舗を構える同店の場合、営業権獲得費用は4万5千レアル。運営費なども含む初期投資は48万〜53万レアルが必要とされ、36〜48カ月で元が取れる。
中国人のジャエ・ホ・リー氏の中華料理店ジン・ジン・ウォックがジン・ジン・スシを開業したのは2012年。現在はサンパウロ市を中心に70店舗を経営。フランチャイズの店開業権を得る費用は3万レアル、運営経費2万5千レアルを含む初期投資は40万レアルで、18〜36カ月で元が取れるという。
いずれの店も口を揃えて言うのは、日本食店はまだまだ伸びる余地があるという事だ。フラン・システムス創業者のバチスタ・ジグリオッチ氏も、日本食はCクラスの人も含む需要が拡大しており、サンパウロ市内でも潜在的市場があちこちにあるはずだという。ABFのジョアン・バチスタ氏は、日本食レストランの増加は消費者の習慣の変化と市場の傾向の二つの方向で続いており、官僚主義的な手続きの煩雑さや重税といった問題がなければ、もっと成長しているはずだという。(10日付エスタード紙より)