ニッケイ新聞 2013年11月12日
北東伯3州で、州や市の公務員向けの年金基金が不正投資に利用され、過去4年で総額5億2800万レアルの損失が出ていたことが社会保障省の行なった調査で判明した。11日付エスタード紙が報じている。
この事実は、エスタード紙が社会保障省に依頼して行なった調査で明らかになったものだ。この調査で対象となったのは北大河州、トカンチンス州、ロライマ州の3州及び同州内の72の市で、2009年から13年に至る4年間で生じた損失は総額5億2817万レアルに上っている。
これは、州や市の公務員向け年金基金を預かる社会保障制度(RPP)の担当者や政治家が、投資額の何%の賄賂を払うからと約束して投資を勧誘する銀行の営業マンの口車に乗せられ、中央銀行や国家通貨審議会(CMN)が定める規定を上回る額を投資ファンドに投入したが、それらの銀行やファンドの焦げ付きなどで、損失を被ったというものだ。
年金基金疑惑は連邦警察も問題視し、昨年9月から15市を対象に「ミケイアス作戦」と呼ばれる捜査を実施して実態を究明しようとしていたが、社会保障省による調査の結果は、同作戦で明らかになっていた被害規模の10倍にあたるものだった。
不正投資による損失が集中しているのは北部、北東部の3州にある六つの基金で、これらの基金は、中央銀行が経営破たんを宣言したBVA、パンアメリカーノ、農業、シャイン(SCHAIN)の4銀行の債券を大量に保持していた。
名目上の損失がもっとも大きかったのは、農業やBVA、パンアメリカーノ銀行が発行していた固定金利型の長期ファンド、FIディフェレンシアルに投資したケースで、42のRPPが2億5820万レアルの投資を行っていた。
この他の名目上の損失としては、FI・RF・ELOという投資ファンドで1億945万レアル、パトリカルカ・プライヴェート・エキッティで8170万レアル、ローマFI・RFプレヴィデンシアーリオで4890万レアル、FIヴィットリア・レージア・RF・LPで1870万レアル、アジンヴェスト・トップFI・RFで1105万レアルが確認されている。また、トカンチンス州は総額で1億5300万レアルの損失を被っている。
社会保障省は昨年から連邦警察や有価証券取引委員会(CVM)、中央銀行、連邦検察庁、州会計検査院(TCE)などに対し、200もの報告書を提出していた。これらの報告書には、RPPによる資金の不正運用や給付金の過払い、偽証、過度の充当、賄賂を媒介とした不正人事なども含まれていたという。
ブラジルには現在、市公務員向けの年金基金が約2千あり、約1800億レアルの金を扱っている。そのうちの約半額は金融市場に適用されている。