ニッケイ新聞 2013年11月12日
2010年1月1日にリオ州アングラ・ドス・レイスで起きた土砂崩れで、愛娘2人を失った、リオ在住のクラウジア&マルセロ・レペットさん夫妻に三つ子が誕生と11日付のグローボ局ニュースが伝えた。
母親として再び子供達を胸に抱く感動を味わったクラウジアさんは46歳。三つ子という事もあり、リスクを伴う妊娠、出産だったが、8日に生まれた子供達は、未熟児ではあるものの全員無事。集中治療室の保育器にいるフローラ、フェリッペ、ヴァレンチナの3人を見守るレペットさん夫妻の顔には満面の笑みが溢れている。
「無限大を意味する8が付く日に生まれたんだから、この子達は無限の愛の象徴よ」というクラウジアさん。出産した病院には、(カトリック信者が祈る時に使う)ロザリオと、いつも身近に置いていた娘達の写真も持参。愛娘達を偲ぶ思いは新しい希望に変わった。「いつも、母親であるという事や子供達がいるという事に憧れを持っていたから、あの娘達と本当に充実した時を持てた事を神様に感謝していたの。きっとその事が、娘達を想う気持ちを強くしていたんだと思うけど、神様はあの娘達を失って出来た心の空洞を埋めて余りある祝福を下さった」と告白する。
クラウジアさんが言う娘達とは、2009年から10年への年越し旅行で、グランデ島バナナルの入り江にある施設に連れて行った、当時9歳のガブリエラちゃんと同12歳のジェオヴァナちゃんだ。2人の娘とマルセロさんの兄のレナットさん、その妻のイルザさん(共に当時50歳)は、大晦日から元旦にかけて降った豪雨で起きた土砂崩れで宿泊していた施設が押し潰されて即死、45歳と42歳だったレペット夫妻も、大怪我をして入院加療を余儀なくされた。
あの事故以来、多くの人達から愛だけを受けて来たというマルセロさん達は、すべての事に感謝し、あらゆる機会を生かす事と、常に2人の娘の写真を身近に置いておく事を決めていた。今回生まれた三つ子は、事故の後に妊娠したが流産したのを見た友人の産科医が人工授精を勧めた事で授かった神様からのプレゼント。夫妻にとって克服と再出発のシンボルである子供達は、体重が増えるまで約40日の入院が必要だが、レペット夫妻はクリスマスは5人揃って自宅で祝えると期待に胸を膨らませている。