ニッケイ新聞 2013年11月14日
「ジャンゴ」の愛称で知られ、軍政による暗殺説が囁かれ続けていた第24代大統領ジョアン・グラール大統領の司法解剖が行なわれることなり、13日、墓地で棺が開けられた。13日付伯字紙が報じている。
ジャンゴ氏は軍政開始前の最後の大統領(1961〜64年)で、公式には、1976年12月6日に、南大河州との国境にあたるアルゼンチンのコリエンテス州で心臓発作のために亡くなったと発表されていた。
だが、同じ時期、ジュセリノ・クビチェック元大統領や旧グアナバラ州(現リオ州)のカルロス・ラセルダ元州知事がいずれも、疑問が残る死因で亡くなっていることから、軍政による暗殺ではないかと長い間、噂されていた。ブラジルの軍事政権は当時、同じく軍政だったアルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアならびに米国中央情報局と組み「コンドル作戦」を実践、左翼と見なす勢力の取締りを強化していた。
2006年には、ウルグアイの元秘密警察員マリオ・ネイラ・バレイオ氏がジャンゴ氏殺害に関与したことを認め、その証言から、「軍政が心臓発作を引き起こす毒を混入した飲み物を飲ませ殺害した」との説が有力になった。ジャンゴ氏の遺族も司法解剖の願いを07年より出しており、今年3月には、真相究明委員会も「毒殺でほぼ間違いない」との声明を発表していた。
ジャンゴ氏の棺は13日午後、同氏の郷里でもある南大河州サンボルジャの墓地から掘り起こされ、ヘリコプターで同州サンタマリアに運ばれた。今朝ブラジリアへ到着、解剖が行なわれる。
なお、ジャンゴ氏の墓碑には、同氏の義弟で軍政時代に反抗の政治家として知られたレオネル・ブリゾラ氏の遺体も収められている。ジャンゴ氏の遺体は、同氏の38回忌にあたる12月6日までにサンボルジャに戻ることが約束されている。