ニッケイ新聞 2013年11月19日
15日と16日、労働者党(PT)の元官房長官(2003〜05年)のジョゼ・ジルセウ被告と元同党党首のジョゼ・ジェノイーノ被告ら、メンサロン裁判の被告11人が出頭した。また、投獄される予定だったうちの1人、元ブラジル銀行のエンリケ・ピゾラット被告は投獄を不服とし、イタリアへ逃亡した。16〜18日付伯字紙が報じている。
15日に行われたジルセウ被告とジェノイーノ被告の出頭の瞬間を、各マスコミは「ブラジルの歴史が変わった日」として大々的に報道した。それは、「大物政治家は投獄されない」というブラジルのこれまでの不名誉な伝統が打ち消されるだけでなく、その日取りが通算124回目の共和制宣言記念日にあたるからだ。
この日、まずジェノイーノ被告が午後6時30分頃に妻のリョウコ・カヤノさんに連れられサンパウロ州連邦警察署に出頭した。署の前には同氏の友人やPT関係者が多くつめかけ、「ヴィヴァ・ジェノイーノ」「ヴィヴァ・PT」と叫んだ。またジルセウ被告は午後8時20分に同署に到着。両氏共、署に入る直前に、詰め掛けた報道陣に対し、左手の拳を力強くかかげる抗議のポーズを取った。
両氏は同日中に文書で声明を発表した。ジェノイーノ被告は「政治犯として刑に服す」と記し、ジルセウ被告は「刑に服す」としながらも、最高裁からの判決を「マスコミからプレッシャーを受ける中で行なわれた不当なもの」とし、「個人保護において、憲法や米州人権条約に反している」と批判した。
15日に出頭したのは2人の他、マルコス・ヴァレーリオ、シモーネ・ヴァスコンセロス、クリスチアーノ・パス、ロメウ・ケイロス、ジャシント・ラマス、カチア・ラベロ、ラモン・ホレルバック、ジョゼ・ロベルト・サウガードの10人の被告で、それぞれが住む州の連邦警察に出向いた。16日には元PT会計のデルービオ・ソアレス被告がそれに続いた。この11人は16日のうちに連邦直轄区に送られ、服役する場所が決まるまで、同区内の刑務所で終日収監となる。
また、この11人と共に服役することになっていた元ブラジル銀行マーケティング担当理事のエンリケ・ピゾラット被告は、45日ほど前にイタリアに出国しており、刑の服役を拒んだ。同被告の刑期は12年7カ月で、昼間外出許可(セミ・アベルト)は認められない。同被告は「マスコミのプレシャーのないイタリアで、もう一度裁判を戦いたい」と語っているという。法務省は同被告の送還をイタリアに求めている。
なお、今回のジルセウ被告とジェノイーノ被告の刑執行に対し、ルーラ前大統領とジウマ大統領は14日に行なった会食で、「13年のうちに執行されれば、14年の選挙の時にはPTへの批判のほとぼりも冷めるだろうから、その意味では良かったのではないか」と語っていたという。