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20日は黒人の意識高揚の日=進まないキロンボの土地認定

ニッケイ新聞 2013年11月20日

 今日20日は、黒人の歴史や文化、権利などを大切にするために制定された「黒人の意識高揚の日(Dia da Conciencia Negra)だ。別名「ズンビー・ダス・パウマーレスの日」とも呼ばれるこの日の正式名称は、「全国ズンビーと黒人の意識の日(Dia Nacional de Zumbi e da Consciencia Negra)」だ。
 アフリカからの最初の黒人奴隷がブラジルに到着したのは1549年。農場その他で酷使され、耐え切れなくて逃げ出す奴隷も続出したが、このような脱走黒人奴隷が形成した集落はキロンボと呼ばれる。黒人達は人里離れた山岳地帯やジャングルに共同体を作り、祖国の伝統や文化を守って隠れ住んだが、その多くが攻め滅ぼされる中、アラゴアス州のパウマーレスの様に、50年以上、自治を守り続けた巨大な集落もあった。11月20日が「黒人の意識高揚の日」とされたのも、パウマーレスの指導者だったズンビーが亡くなった日を記念したものだ。
 キロンボは元々、不法占拠という形で始まったものだが、そのキロンボの土地所有を法律的に認めようという運動が徐々にだが進んでいる。キロンボの土地認定は、1988年に出た法律で義務付けられたが、現在、ブラジル国内で存在が認められているキロンボ2408の内、土地の所有を認めるよう申請しているキロンボは1281。正式に土地所有が認められたのは全体の8・5%にあたる139のみで、総計99万5千ヘクタールの土地に、207の黒人集落があり、約1万3千人が住んでいる。
 だが、キロンボの土地所有の認定は遅々として進まない。リオ州南部クアティスにあるサンタナと呼ばれる黒人集落も、1999年から土地所有を認めるよう要請しているが、まだ認定を受けていない。クアティスは高台にある1867年建設の教会を中心に集落が形成され、150人の住民達は土地所有が認められたら自分達の農園をと意気込んでいるが、現実は近隣の農園などの手伝いでわずかな収入を得ているのみ。病人が出ても市の救急車は来ず、週日のみ動く通学用の乗り合いバスに便乗するか、タクシーで病院に運ぶ必要がある。集落の中心にあるカトリック教会の神父が黒人コミュニティを嫌って、ミサなどを行わなくなった事も住人達の不満の一つだ。
 キロンボに関する問題は土地認定に限らず、連邦政府による全戸電化計画(ルス・パラ・トードス)などのプロジェクトや農業融資へのアクセスが限られている事などへの不満もある。
 政府関係者はキロンボの住民にも社会福祉の手は届いているというが、土地所有の認定が遅れている事などを不服とした連邦検察庁は、連邦政府に圧力をかけるために全国規模の作戦を開始する予定で、皮切りとして、20日にブラジリアでキロンボのリーダー達を招いた公聴会を開く。作戦を指揮するのは先住民や伝統的なコミュニティに関する問題を扱う部署担当のデボラ・ドゥプラット検察庁副長官だ。 
 同副長官によると、キロンボの土地認定の遅れは、国立植民農地改革院(Incra)がちゃんと機能してない証拠で、現在のペースだと、すべてのキロンボが土地の認定を受けるには175年かかるという。(17日付エスタード紙より)

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