ニッケイ新聞 2013年11月22日
保健省が19日、デング熱を媒介するネッタイシマカのボウフラ発生数から見て、デング熱流行の危険度が高い市は1315市中157と発表したと、19、20日付ブラジルメディアが報じた。
10、11月に調査が行われた全国1315市中、調査地点の4%超でボウフラの発生が認められた自治体は157市。昨年は1239市中77市だったから、流行の可能性はより高い。
また、調査地点の1〜3・9%でボウフラ発生が確認され、警告の対象となる市は525。ベレン、マセイオー、レシフェ、ナタール、サンパウロ、フロリアノポリスといった未集計の州都のデータが加われば、更に増える可能性もある。
1〜11月に確認されたデング熱患者は147万6千人超で、デング熱が流行した2010年同期の患者数95万5087人を54・6%上回る過去最悪の状態だ。昨年同期の患者数は54万5163人だから、既に3倍近く、重症患者や死者の数も昨年比61%増。患者最多は63・4%を占める南東部で、2位は18・4%の中西部。
今年のデング熱患者は免疫のない人が多い4型ウイルスによる感染が71・9%を占め、市長選後の市政交代期に十分な対策が採られなかった事も影響している。それでも、罹患者の死亡率は0・03%で、米州では最も低い方だという。
保健省は、2014年1〜5月の目標は重症患者や死者の数を減らす事で、そのためにも、ボウフラの発生数から割り出した危険地域や警戒地域を中心とした予防対策を強化する意向を表明。サッカー元代表選手のカフーを起用した予防キャンペーンも実施する。
この夏のデング熱体策に保健省が用意している資金は3億6300万レアルで、啓蒙や予防、コントロールのために用いられる。重症になったり死亡したりする患者は、抵抗力がない高齢者などが多く、早期の診断と治療が必要だ。感染直後に保健所などで受診しても感染が確認出来ず、再診した時は重症化していたという例も多い。
南東部でボウフラの発生が確認された場所は溜まり水37・5%にゴミ捨て場36・4%となっており、中西部ではゴミ捨て場が最も多いなど、地域の特徴に応じた対策も必要だ。家庭では、鉢植え植物用の受け皿に砂を入れる、貯水槽に蓋をするといった対策が有効で、空き地などに置かれたタイヤや空き瓶などに水が溜まらない様な工夫も必要だ。デング熱を媒介する蚊の卵は乾燥状態でも300日は生き延びるため、本格的な雨の季節の到来前から対策を講じる事が大切だ。