ニッケイ新聞 2013年11月23日
明治神宮が秋の大祭を奉祝して先月20日に開催した『第129回明治神宮献詠短歌大会』に小池みさ子ブラジル委員が出席し、大会結果を持ち帰った。3千以上もの応募作品から選ばれる10の特選に、筒井惇さん(78、三重)=サンタ・カタリーナ州ジョインビレ市=の作品が入賞したとの朗報を本紙に伝えた。
「農道に二十瓲車の連なりて穀倉地帯は豊の秋なる」(筒井惇)
1960年に呼び寄せ移民で渡伯した当初は、南麻州のドウラードス市でコーヒーや野菜栽培に従事していた筒井さん。同作品は、「トレーラーを3台持っている私のクニャード(甥)から『大豆の収穫に行くから行かんか』と誘われて、マット・グロッソの大豆畑を目にした時、ブラジルらしい大きい光景だと思って詠んだ歌」。一昨年は同大会で佳作を受賞した。
30年近く星野瞳さんに師事し、俳句を学んだ。「ニッケイ俳壇に投句する度に、一句一句すべて指導くださった。あんなご親切な先生はいない。短歌で受賞できるまでになったのは星野先生のおかげ」と喜びを語った。
また大会では講演会や親睦会が行われ、全国から集まった入賞者や歌人らが親交を深めた。15年間ブラジル委員をつとめる小池さん(76、長野)は大会の様子を振り返り、「著名な先生方に歓迎された。蒔田さくら子先生は、閉会の辞で私の名前を上げて喜んでくださった。毎年、佳作以上の入賞者は招待されるので、入賞者はぜひ参加してほしい」と嬉々として語った。
その他の入賞作品は次のとおり。
◎入選「かりそめの移住がいつしか根を張りてここ南国に長寿授かる」(サンパウロ、山岡樹代子)
◎佳作「故里の紅葉の山に迎へらる卒寿記念の訪日の旅」(モジ、原君子)
「サンパウロの冬空晴れて和太鼓の音いさましき日本祭」(サンパウロ、藤田朝壽)