ニッケイ新聞 2013年11月26日
マリオ・デ・アンドラーデの甥(マリオの末の妹の息子)であるカルロス・アウグスト・デ・アンドラーデ・カマルゴ(74)は、伯父マリオの伝記は必要ないと考えていると明かした。
フォーリャ紙の取材にメールで答えたカルロス氏は、「既に出版された無数の手紙を通して、伯父は自分の伝記を世に残したようなもの。彼の人生を知りたい人には、彼が書いた手紙を集めた本がある」としている。
ジェイソン・テルシオ氏が伝記本を書いていることも認知しており、メールのやり取りもしたというがその内容については明かさなかった。また、もし進められている伝記本の出版が決まった場合、差止めを求めて訴えるかとの質問には「仮説に関しては考えられない」と言うにとどめた。
伯父が同性愛者であったということが伝記出版の足かせになっているという説については、「モアシール・ウェルネック・デ・カストロとジョゼ・ベント・ファリア・フェラスの2人が既にそのことについては書いた。だから何もコメントすることはない」とした。ともにマリオと親交があったリオ出身のジャーナリストと、マリオの個人的な秘書だった人物だ。
ウェルネック氏は著書『リオの流刑地』で、「(マリオは)抑圧された性癖を持っていた。実現されない、あるいはほぼ実現されない性だった」と書いている。
「ただ、我々に対する日頃の振る舞いやフェスタの終わり頃のくだけた雰囲気にも、そうだと推測できる態度は微塵もなかった。とても自然体で、彼の人格から来るものだった。ただ、独特の面白い言葉遣いとか、音節を切って単語を強調するというような、彼特有の話し方はあった」とも。
ちなみに、秘書だったジョゼ・ベント・ファリア・フェラス氏は1997年のフォーリャ紙の取材に、「マリオのリオの滞在先には毒物やコカイン、他にも何かわからないものがあって、彼がそれを使っていたことは知っている。でも、ゲイだったかどうかは知らない」と応えている。
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ちなみに、マリオ以外にも現在複数の著名人の伝記執筆が進んでいる。民政移管後の初の大統領となるはずだったものの85年に死去した政治家のタンクレード・ネーヴェス、ブラジルを代表する作家の一人ジョルジ・アマード(故人)、現代作家で詩人のパウロ・レミンスキ(44)、ミナス・ジェライス出身でポルトガルに対する最初の独立運動「ミナスの陰謀」を首謀したチラデンテス、俳優で映画人のダニエル・フィーリョ(76)、作曲家のアシス・バレンテ(故人)などがその例だ。(終わり)