ニッケイ新聞 2013年11月27日
サンパウロ州の10月の犯罪統計が発表され、殺人が7カ月連続で前年同月比減と報告される一方、強盗が5カ月連続で上昇していることがわかった。その一方でここのところ、サンパウロ市では物騒な犯罪報道が続いている。26日付伯字紙が報じている。
州保安局が25日に発表したサンパウロ州の10月の犯罪統計によると、同月のサンパウロ州での殺人件数は391件で、前年同月比で22・4%減少した。殺人事件はこれで7カ月連続の減少となったが、減少幅は毎月の統計を発表し始めた2011年以降、最大となった。またサンパウロ市での同月の殺人は109件で、これも前年同月より28%減少している。
また、今年に入ってから10カ月のサンパウロ州での殺人件数も146件、昨年同期比で4%減少している。フェルナンド・グレーラ・ヴィエイラサンパウロ州保安局長は、2013年は「人口10万人あたりの殺人を10件以内」という州目標を達成しそうだと語っている。現在の数値は11・6件だ。
今年のサンパウロ州での殺人事件数が前年に比べて減少している背景には、2012年は首都第一コマンド(PCC)が軍警と対立して殺人数が急増していたことがある。
だが、その一方で、強盗の数は5カ月連続で増加した。10月はサンパウロ州で前年同月比19・0%、サンパウロ市で同23・1%増加した。特に自動車強盗の増加が目立ち、サンパウロ州で21%、サンパウロ市で25・5%増加した。また、1〜10月のサンパウロ州での強盗事件の数は昨年同期比6・4%、実数に直すと約1万3千件増加した。
グレーラ局長は犯罪の増加に関して、「警察署によって、任務がうまく遂行できていないところがある」と、犯罪数の多い警察署に関して批判的な発言を行なった。サンパウロ市の例で見ていくと、人口10万人あたりの殺人事件発生率は、南西部のパルケ・サントアントニオ署管轄をはじめ、カンポ・リンポ、カッポン・レドンド、ジャルジン・エルクラノ、パレリェイロス地区で高い。また、強盗事件は、極南部のパレリェイロス署管轄を筆頭に、極東部や北部での増加が目立つ。
また、ここ数日、サンパウロ市での強盗の報道が目立っている。25日付フォーリャ紙によると、市西部のブタンタンではサンパウロ総合大学(USP)の3番ゲート周辺での強盗事件が前年比10%増え、家族が8回強盗の被害に遭い押し込み強盗も1回起きた一家や、10カ月で計10度の強盗に遭った学生6人のグループなどが引越しを余儀なくされた。同地にはバイクや自転車に乗り武装した強盗団が出没し、押し込み強盗や自動車強盗なども増えているという。
25日夕方は、市南部ジャルジン・ダ・サウージのショッピング・プラザ・スールで、1階のサーフィン用の洋品店に6人組の強盗団が押入り、駆けつけた軍警に発砲。銃弾はひとりの軍警の頭をかすめ、場内が騒然として買い物客が一斉に避難する騒動が起きた。強盗は逃走したが、同日夜、6人のうち2人が南部のシダーデ・アデマルで逮捕された。