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昨年のEnem結果発表=私立校の成績が振るわず=公立校教師養成に10億レ

ニッケイ新聞 2013年11月28日

 教育省は25日、2012年の国家高等教育試験(Enem)の学校別の成績を発表した。それによれば5科目のうち3科目において、公立校出身の成績優秀者の成績が私立校出身者のそれを上回ったが、受験者の大半を占める州立校の生徒の成績は芳しくないという結果だった。26日付エスタード紙が報じた。
 メルカダンテ教育相によれば、この結果は国立も含む公立校出身者と私立校出身者の成績上位者21万5530人ずつを比較したものだという。連邦大学の統一選抜システム(Sisu)では今年、定員の25%を公立校出身者に当てるが、この25%の生徒は私立校の生徒よりも成績優秀ということになる。
 なお、その採点基準が問題となった作文の平均点は、前年の568・75点から560・03点に落ち、州立校、私立校ともに落ちた。
 また、4科目(言語、自然科学、人文科学、数学)の点をもとに学校ごとの平均を出した場合、サンパウロ州では、私立校の成績が公立校の成績よりも一昨年からの落ち幅が大きかったとして、27日付エスタード紙は私立校の不振を伝えている。
 過去2年連続して受験したサンパウロ州私立校の47%で平均点が落ちた一方、公立校の場合はその割合が34%だった。全国規模でも、平均点が落ちた私立校は45%だったが、公立校ではその割合が40%だった。
 言語(ポ語・外国語)の平均点は2年連続して受験した全ての学校で落ちたが、私立校の落ち幅は6・1%減と著しかった。また、自然科学の平均点が落ちたのは私立校のみだった。
 「学校のランキングだけ見ると、私立のほうが公立よりずっといいという印象だが、実際は必ずしもそうではないことがわかる」。教育団体トードス・ペラ・エドゥカソンのディレクターを務めるプリシラ・クルス氏はそうコメントする一方、私立校の4科目の平均点は公立校より20%高かったことから、「この結果は無視すべきものではないが、単なる一側面」とも付け加えた。
 州立校は依然として上位には上がってこないものの、一昨年と比べ、言語、作文以外の平均点は上がったという結果もある。ただ、私立校と州立校に差があるのは依然として変わらない。
 25日付G1サイトなどによれば、教育省は25日、中等教育を強化するため、同省が実施するコースに参加する公立校教師や教育コーディネーターに奨学金を出すプログラムを打ち出した。コースの実施には全州、連邦直轄区の教育局、40の大学が参加する。50万人の教師の受講を見込んでおり、政府は10億レを投資するとしている。